尚子は数秒見つめ合うと踵を返して迷いなく歩き出した。
角を曲がった彼女を和也が追いかけると、捜査に来ていた捜査一課の松井と当たり前のように並んで立っていた。
松井に親しげに喋りかけた尚子がカボチャマスクを取ると、中から出てきたのは美少女だった尚子ではなく、背格好が似ているだけの婦人警官だった。

尚子の名前を叫んでしまった和也は、知りうる限りの詳しい事情を話さなければならなくなった。
その頃、海外で仕事をしている咲紀の両親が病院に到着していた。
まだ誰も咲紀と尚子が入れ替わっているとは気づかず、両親は騒々しく病室に駆け込んで無残な姿の他人を見て悲鳴を上げていた。
他人が目を開けると娘が意識を取り戻したと思い、顔を近づけて語りかけた。
そして、いい加減騒がしさにイライラしていた尚子に、注射器を舌にぶっ刺されてしまうのだった。

その頃、一連の事件の被害者の写真を見せられていた和也は、手術室の被害者の中から咲紀を見つけていた。
すり替わりに気づいた3人は病室に急いだ。
そこまでして復讐を遂げようとする理由を問い質された和也は、中学校のハロウィンパーティーで開催されたクイーンコンテストで、尚子は罠に嵌められて顔を焼かれたのだと白状した。
学年ナンバー1の美少女に選ばれて喜んでいる尚子に送られたカボチャマスクに仕込まれていた爆竹がヘアスプレーに引火し、マスクの中で小さな火事を起こしたのだという。

軽い気持ちで仕掛けたいじめは大惨事になったのだが、誰も助けようとせず、もがき苦しむ尚子を嘲笑していただけだった。
尚子は咲紀の母親の舌を貫くと、続けて父親の顔面に何本もの注射器を突き立てた。
自分の子供かどうかも気づけないバカ親の躾のせいで嫌な女に育った咲紀に、青春をめちゃくちゃにされた。
尚子のその言葉で母親は娘から聞かされていたバケモノ尚子の話を思い出し、バケモノと連呼し始めた。
それでまた咲紀を怒らせ、完全に両目を潰されてしまう。

父親は助けようとしてパイプ椅子を尚子に振り下ろしたがギリギリ避けられ、妻の頭部を潰して止めを刺してしまった。
そして、自分も首をかき切られて妻と娘の後を追わされた。
和也たちがエレベーターで当該階に着くと、煙から逃げてきた病人や職員が押し寄せてきた。
外に出れなくなった和也が尚子の仕業だと確信したその時、避難者に紛れている本人と目が合った。
刑事二人は避難誘導のために廊下に躍り出た直後、和也の傍の尚子に気づいたが、一足遅くドアが閉まった。
直後、悲鳴を上げた職員が指差す部屋の中を目撃し、人の死体を見慣れている刑事でもさすがに目を覆いたくなる光景に恐怖の声が漏れ出た。
咲紀の両親は猟奇的という言葉では生易しいほど、残酷な姿にされてしまっていた。

尚子はやっと自分に気づいた和也におどけて舌を出して見せ、また誰か殺したことを仄めかし、エレベーターが1階に着くと、一番最後に殺してあげると宣言して姿を消そうとした。
和也は呼び止め、クイーンコンテストはただの事故だったからもう止めろと説得するが、尚子に冷静に言い返された。
マスクに仕掛けられていたのは、爆竹なんかではなかったと。
何を仕掛けられていたか聞いた和也は驚愕し、すぐに話せば良かったのにと言い返した。
すると、当然大人たちに言ったが信用されず、だから一人で復讐することに決めたのだと言われ、それ以上何も言えなかった。





































