PR掲載中最新コミック
ライムライト・レモネードジャム

103話

羽黒がある島も蝉がやかましい夏の昼。

 

所長と女医は質のいいスーツを着た初老の男性と向かい合っていた。

 

その男は五菱の社長だった。

 

 

お茶を持っていった吾妻から突然の来訪を聞いた昼休憩中の西は、一体何の目的で視察をしに来たのか、危険な臭いを感じた。

 

 

社長の香澄はまず、天童組の水野をきっちり始末した件を労い、息子の仁を生かしておいた判断を褒めた。

 

仁にまだ威厳がなくても彼女は頭の回転が速く、右腕の神崎が睨みを利かせていてバランスが取れている。

 

香澄にしてみれば扱いやすくなったおかげで、各所に金を握らせて不平不満を押し込めればそれで十分コントロールできるようになっていた。

 

メデューサの初実戦投入も上々の出来。

 

ただし船を沈没までさせるのはやり過ぎだと話し出したところで、女医は回りくどい話は無しにして本題に入って欲しいと立場も弁えずに苛立ちを見せた。

 

 

船の証拠隠滅は十分、名古屋の事件も堂島父に罪を擦り付け、真希の行方も警備隊が捜索し続けている。

 

訊かれるであろうことを先回りして答える女医に気分を害さず、香澄は真聖教団について切り出した。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2019年39号

 

 

真聖教の本拠地はとある山奥の村にあり、その地域では極端に行方不明者が多いことが分かっており、五菱が調べた結果、複数の殺人者のいる可能性が高いと判断された。

 

その殺人者がメデューサだとして、五菱の手が届いていない地域と言うのが問題だった。

 

果たしてそれが、五菱が作り上げたメデューサが流れ着いただけなのか。

 

やはりメデューサの可能性が高くても、五菱の管理下にない新たな存在なのが分かったのだった。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2019年39号

 

 

 

自分たちの人生をめちゃくちゃにした元締めが来訪しているなど知る由もない羽黒のメデューサたちは、すっかり元気になった身体でハウス栽培している野菜の収穫作業をしていた。

 

 

格好は海上ファームと同じく、水着にパーカーの開放感。

 

霧子がたわわに育ったトマトに気分上々なのは、船上パーティーで仲間意識を強くした今、治療や懲罰房入りでなかなか全員揃うことはなかった中、今日は数カ月ぶりに全員が揃うからご馳走を振舞うつもりだったのだ。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2019年39号

 

 

洋子は松葉杖で歩けるほど回復し、カレンと小夜子は日常生活にもう支障はなく、そもそもあやとカチュアは軽傷だった。

 

そして地味に一番重傷だったのが、神崎と激しい戦いを繰り広げ、水野とも殺り合った千歌だった。

 

 

その千歌の噂をした直後、本人が元気な姿で現れた。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2019年39号

 

 

 

誰より復帰を待ち侘びていた小夜子が駆け寄り、手を握ろうとした。

 

しかし千歌は虫でも飛んできたかのようにサッと握られるのを躱した

 

まさかの反応に言葉を無くす小夜子に千歌は当たり障りない懲罰房暮らしの愚痴を零すと、すぐにご馳走担当の霧子の方に行ってしまった。

 

 

千歌が過剰反応したのは、素になってから改めて考えた結果、性器同士を擦りつける貝合わせを自分からノリノリでしたことがとてつもなく恥ずかしくなっていたからだ。

 

ただ小夜子も、久しぶりに千歌の顔を見て同じような気持ちでいるようだった。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2019年39号

 

 

 

傍目には、美少女たちが共同生活を楽しんでいるようにしか見えない作業風景。

 

吹き抜けの二階部分から彼女たちを観察していた香澄の秘書の三上は、とても恐ろしい殺人鬼とは思えなかったが、犯行の録画を見せられていては信じないわけにはいかなかった。

 

 

犯罪史に名を残す稀代の殺人鬼たちの人格が、殺人とは遠い世界にいた美少女たちの中で息づいている。

 

人格の移植・融合。

その延長線上にこそ、五菱、女医、そして車椅子の女の目的があった。

 

 

千歌たちも女医たちに気づくと、美依那が羽黒のスポンサーの五菱重工の連中だろうという。

 

それで千歌と美依那は、水野や神崎の言葉を思い出した。

五菱が自分たちを殺人鬼にしたと言っていたのを。

 

そして千歌は、車椅子の女と目が合った。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2019年39号

 

 

直後、変な空気をぶち壊すように西が入ってきて、土曜の今日は午前中のみで作業は終了だと告げた。

 

息抜きのレクリエーションをしようと誘われた彼女たちは歓喜するが、カヤックフィッシングだと言われ、すぐ死んだ魚みたいに目から光を失わせるのだった。

サタノファニ
著者名:山田恵庸 引用元:ヤングマガジン2019年39号

 

 

感想

サタノファニ101話102話103話でした。

久しぶりに登場した所長は、初っ端から飛ばしてますね。

変態父娘に私物化された羽黒での立場が最底辺まで落ちた吾妻もマーダーモデルがあるとは、楽しみな驚きでした。

サタノファニを読むならこちら

https://www.kuroneko0920.com/archives/61859