10話前編
ユメノとの時間が増えたことで特におざなりにされたるるなは、一週間も放置されていることの不満をぶつけ、これでもかと泣き崩れてアピールしてきた。
彼としても不本意な状況だが、今は会えない寂しさを会えた時の嬉しさに変えてもらう原動力にしてもらうしかなく、仕方なく電話を切った。
今彼は、ユメノの別荘で二人きりだった。

他の女と電話していても全く怒らず、むしろからかってくるくらいに寛容なユメノ。
嫉妬はするものの、嫉妬をヤル気に変えるタイプのるるな。
エミは普通に嫉妬に悲しみ、落ちていく性格だった。
だから彼は、彼女たちの性質に合わせて他の女の存在の仄めかし度をコントロールしていた。
そして彼がユメノの別荘にいる理由は、警察に疑われている自分ではなく、彼女に3億円を預かってもらうためだった。
孤児で金銭に困っていると思われている自分ではなく、反社会組織の令嬢のユメノは全く金に困っていない裕福な家の生まれ。

彼女が金を強奪する必要性などなく、彼女自身も彼を助けられるこの映画のような状況を楽しんでいるところがあるので、彼は大助かりだった。
後はユメノと一緒にいて不用意な発言に気を遣うのはいいが、そうするとサクラがまた何かしでかしそうなのが怖かった。
嫉妬が凄まじそうなサクラは盲目的に彼の言いつけを守るようではあるが、行動の読めなさは他の女の比ではない。

白いワンピースを着たサクラとの遭遇を警察に見られる。
その最悪の展開の対策として、彼はキョウコにあるメモを渡し、コンシェルジュルームに貼らせていた。
やれることはやった彼がそろそろ朝食でも食べようと切り出したその時、ユメノが山之内について調べて分かった驚愕の事実を教えてくれた。
一方、真面目に女子大生をやっていたエミは、連日山之内に接触されて気分が悪いのに、今日は家まで来られて辟易していた。
アツシについての新しい情報が分かったので車内で話をしたいと言われるが、ただでさえ気持ち悪い男である山之内との密室での二人きりをエミは拒絶した。
すると山之内は彼について知りたがっているエミの心理をいやらしく刺激し、彼女が折れるように仕向けて車内に誘い込んだ。

山之内はさっそく、薄着になってきたエミの服装を指摘しつつ衣替えの季節かなんて気持ち悪く世間話から切り出すので、エミは無駄話はいらないと撥ねつけた。
しかし山之内は、捜査で無駄になることはなく、こんな世間話も楽しみの一つとしているから仕事に励めるし、カメラが一番の息抜きになっているんだと、自分のことを語り始めた。
そして、なんだかんだ彼の告げ口を聞いてしまっているエミに、彼がユメノと腕を組んでいる盗撮写真を取り出して見せ、他に女がいる決定的証拠として提示した。
さすがにエミも、彼に他の女がいることは気づいていたのでそこまでショックではなかったが、風邪だと嘘を吐かれて会っていたのは知らなかった。
いや、知らないフリをしていた。
山之内は更に、彼が家賃や学費をそれぞれ別の女性から数百万ずつも援助してもらっている領収書のコピーまで見せ、畳み掛けた。

彼はどうしようもないクズで女の敵。
だから守る必要などないと言い含め、エミから彼の情報を引き出そうとした。
その時、渦中の彼から電話がかかってきて話があるから会いたいと言われたが、エミは刑事と話しているからと言い返すだけで切ってしまった。

山之内のとんでもない事実を知る前にエミは嫉妬と悲しみに支配されると、白いワンピースの女の子に家の前に張られ、彼に電話で相談したことを白状してしまった。
ここぞとばかりにほくそ笑んだ山之内は、彼に口止めされたから今まで言わなかったという証言も引き出そうとして、気持ち悪い顔を一気に近づけ、肩を抱いた。
耳元で囁かれるほど近づかれたエミは嫌悪感の限界を越え、思わず突き飛ばした。
その動きで、助手席の裏側が破れてしまった。
ただ、膝が擦れたくらいで破れたのは中に硬いカメラが隠されていたからで、アングルはばっちりエミのスカートの中を撮れるようにセットされていた。
今も作動し続けているカメラに映され続けるエミのパンチラ。

彼女がまさかと思いながらそれを取り出し、青ざめたその時、山之内が本性を現した。
エミに襲いかかった山之内は片腕を押えて口を塞ぎ、悲鳴を上げられないようにして、ぎらついた目で睨みつけたのだった。


































