85話86話
ガモウは若林の二人とも嫁宣言を寛容に受け入れ、豪快に笑った。
教え子を嫁に娶る勢いで口走った若林が恥ずかしくなってOKかどうか答えを迫ると、ガモウはもう一人の勝者であるアレックスに伺いを立てた。
もちろん若林が女子二人を嫁にしようとアレックスに咎める理由などなく、許すも何も預けるという。
これにて佐々木と豊橋は、この島において若林の嫁の立場を手に入れた。

次は、アレックスが望みをいう番だ。
一歩前に出たアレックスは当初の目的通り、ガモウの騎士にして欲しいと願った。

騎士、つまり側近としての剣。
思わぬ申し出にガモウは逡巡し、サカキにどう考えるか訊ねた。
サカキは自分と同じ側近の立場になり、ガモウに仕えることを改めて言葉にしてその意味を反芻してから、ちょっとした条件を付け加えた。
自分の配下につくならば受け入れると。

サカキがその条件を出すとガモウも了承し、騎士すなわち守り人として仕えることを認め、更に住居と思われるオクマと世話人を与えると宣言した。
これにて、エギ大祭が終わった。
嫁たちも引き上げていく中、啓太をその目に見た葵は希望に満ち溢れて涙を流した。

無事に最初の目的を果たした若林だったが、与えられたオクマにて喚き散らす事態に陥った。
訳が分からないまま寝台に拘束され、抵抗することもできずに背中に刺青を彫られ始めたのだ。
教師だと言おうが何を喚こうが一切聞き入れられず、インゴの儀式でツワモノには証を入れなければならないと言い返されるのみで話がかみ合わない。
チクチクと鈍痛を与えられ続けた末、若林の背中に立派な龍が彫られた。

しかしこれでもまだ完成ではないらしく、本当に完成した時に名実共にインゴになるのだという。
取りあえずは仲間入りを果たしたことを祝われるが、若林は今にも泣きたくなった。
すると今度は、まともな肉がある夕食を差し出された。

甲斐甲斐しく世話をしてくるのは、昨日まで虐げてきた奴ら。
そんな奴らが手の平を返して態度を改める程、エギを勝ち抜いたツワモノの立場はそれなりの高さだった。
力こそが全て、強ければ成り上がれる世界とシステム。
ともあれ若林は肉を口に運び、噛み切り、味わい、飲み込み、あまりの美味さに泣いた。
































