18話
前しか見えず、警官のまま彼を連れ帰ろうとするサクラ。
監視カメラに撮られているのが分かっている彼は焦り、とにかく速やかに穏やかに帰ってもらうため、奇妙な構図ながらも警官のサクラに無実だから絶対帰れると訴えた。
万が一、サクラの能力がバレたら終わる。
しかしサクラは目の前の感情を優先し、もう我慢する気はないと言い返した。

早く婚姻届を出して結婚したいサクラは異常な愛情で我を押し通そうとしているうち、応援の警官が駆けつけ、拳銃を構えた。
するとサクラがまた剣呑な空気を出すので彼が止めようとすると、彼女は一人の婦警のスタイルを見て納得すると、すぐに身体を乗っ取った。
巨乳のこの女が彼を誑かしていると思い込み、一切躊躇なく自害させようと引き金に手をかけた。

しかしギリギリのところで彼が飛びかかり、何とか人死にを出さずに済んだ。
彼はサクラと仲良くしていた子供の頃を記憶を呼び起こし、人の死を何よりも恐れていることを訴えかけるが、サクラには何も響いていないようだった。
そして、二人は他の警官に組み伏せられた。
そして、最初にサクラに乗っ取られていた警官が倒れた拍子に、ポケットから鍵が零れ落ちた。
家宅捜索班の警官が持っていたのは、殺人事件の現場から消えたと思われていた輸送車の鍵だった。

警察が自分の部屋で然るべき捜査をすれば、無実を証明できると思っていた彼は、流れに任せていてはまたハメられるだけだと理解し、サクラを煽って脱出することに決めた。
橋の下に身を隠した彼は、未だかつて感じたことのない緊張感と恐怖でしとどに汗をかいていた。
マインド=アイを繰り返したサクラのフォローに助けられながら、何人もの警官に圧倒的な悪意を向けられながら追いかけられ、必死で逃げた恐怖。
今がどういう状況なのか調べたくてもスマホの電源を入れるわけにもいかず、肩を抱いてビクついていると、また別のお腹の大きな女に乗り移ったサクラが、頼んだモノを持ってきた。

パッと見は身重の女性だが、ワンピースをペロッと捲ればどこからか調達してきた衣服がドドッと落ちてきた。
恥ずかしげもなく下着を見せるサクラにこれ以上目立つ行動をするなと言ってやりたいところだが、追われる身になってしまった彼はブーメランだと察しないわけにはいかなかった。
山之内が言っていた、消えた輸送車の鍵が、家宅捜索した警官も持っていた事実。
あの警官が便乗犯本人でない場合、警察組織が犯罪に関わっていることになる。
だからまた身柄を拘束されれば、証拠などでっちあげられて冤罪で裁かれる未来しかない。
それを思うと彼はまた恐怖に震えてしまうが、するとサクラが幸せを邪魔する奴らは全員消せばいいと言い出し、相手が国家権力だろうと深く考えず、異常な悪意を示した。

本当に躊躇なく実行しそうな雰囲気に彼はまた恐怖し、人殺しはだめだと諭そうとしたその時、能力を使い過ぎたサクラは意識が遠のき、そのままあっさり気を失ったのだった。
それがきっかけで、女性の中からサクラがいなくなった。
心休まる時がないままパトカーが集まって来たので、彼は女性を放置して行く当てもなく逃げ出した。
るるな、エミ、ユメノ…

彼女たちにも捜査の手が伸びるかも知れないことを恐れながら、逃亡生活が始まった。



































