20話
彼は東京は港区にやって来た。
街頭ビジョンではるるなの謹慎ニュースが流れていたが彼は目も暮れず、雨のおかげでカッパを着れていることに感謝しながら先を急いでいた。
逃亡してから約一週間。
るるなだけじゃなく、他の二人にも近づけない彼はしかし、もう一つの頼れる先を知っていた。

それはユメノの実家であるヤクザの組事務所だった。
ヤクザなら足のつかない携帯を持っているはずと思い、それを手に入れに来た場所は、普通のマンションの一室だった。
自分がユメノに集っているのをあえて利用し、その男がどこの誰か知っていると情報提供者を気取り、まずは部屋の中に入れてもらおうと駆け引きをする。
あくまで強気を押し通し、ユメノを口説いていた男を秘密裏に消していることも知っていると突きつけ、主導権を握ろうとした。
すると埒が明かないと思ったのか、組員が彼を中に引っ張り込んだ。
第一関門は突破。
ただ、今いる中で一番立場が上らしい坊主頭の大道は、下手に出るつもりはないようだった。

彼が情報を出し渋れば容赦なく殴り倒し、吐かせてから埋めてヤルと凄む。
しかし彼も殴られたくらいでビビらず、組長がいないのなら逆に好都合だと答え、不敵に微笑んだ。
そこでようやくヤクザたちは、彼が指名手配犯だと気づいた。

指名手配の立場さえ利用するつもりの彼は、警察がここに来るのも時間の問題だと脅すことで、身の安全を図り、まずはユメノに会わせて欲しいと持ちかけた。
だが、それで頭に血が上った大道は悪意を殺意まで高めてナイフを突きつけ、組長の代わりに消してやると激昂した。
その時、噂の組長が戻ってきた。
一見ヤクザの組長には見えない、紳士を気取った初老の男だった。

笑顔を振りまき物腰も柔らかいが、組員たちは一斉に数値を上昇させ、腰を折って挨拶していく。
大道も下を向いて震えながら挨拶するが、組長は微笑みを返して気さくな親父な一面を見せる。
それで大道の数値が一気に高い好意を示したが、彼は自分が山之内を手懐けているのと同じ、圧倒的恐怖で従わせているのだと分かった。
組長は入った時からニコやかに飄々としたまま、雨で濡れたスーツケースを運び込ませた。
旅行の荷物が入っていそうなケースに入っていたのは、血塗れの男だった。
組長は組の金を盗んで飛ぼうとした元組員に対しても鬼の笑顔を見せ、優しく語りかける。

しかし内心は腸が煮えているのは間違い無く、金ちょろまかし男の面倒を見ていた先輩組員を怒鳴りつけ、吐かせる役目を変わらせた。
先輩組員はまだ情があるらしく、吐いて金さえ戻ってくれば命は助かるはずだと諭した。
それに続き、組長は吐けば楽に死なせてヤルと付け加えた。
組長は手足の指を詰めさせようとするが、男はもう事切れていた。
そこで組長はアツシが何者か訊ね、大道がユメノに手を出してた男だと暴露した。
直後、組長の数値は今すぐに手を下さんばかりの圧倒的悪意を示した。

彼は今から、三股の一人の父親と地獄のドライブに行かなければならなくなった。
感想
ドクザクラ17話18話19話20話でした。
これはまだ警官がおかしくなったで切り抜けられそうですが、サクラの存在が警察の知るところになったのはかなり危険ですね。
まだ二人の過去も謎のままなのに、スピード感が出てきましたね。
https://www.kuroneko0920.com/archives/68995



































