使われないように武器を集めた後、リザードマンが腐食の祈祷をかけると、綺麗だった武器が瞬く間にボロボロに腐り始め、あっという間に使い物にならなくなった。
こうして時間をかけられる時に限り、準備が必要でもあっという間に腐らせる腐食は効果覿面。
ここまでは一応予定通りで改めて気を引き締めたその時、地上から豪快なラッパ音が聞こえてきた。
直後、大量の足音が音の出所の中庭に向かい始めた。

ラッパ、太鼓、続々と中庭に集まるゴブリン。
まるでお祭りでも始めるかの如く、舞い落ちる雪が醜い者どもの騒ぎを幻想的に彩っている。
彼らがそっと覗き見始めたその時、いよいよ大騒ぎの主役が登場し、歓声が一際大きくなった。

他のゴブリンとは違い、しっかり装備に身を包み、体躯も並外れてでかい個体。
それがこの砦を支配している、ゴブリン聖騎士に間違いなかった。
一目見た令嬢は憎しみの電流が駆け巡り、彼は作戦が後手に回ったことを悟った。

エルフはこのまま狙撃して仕留めればいいと思ったが、事態はそう単純なものではなくなっていた。
ここで聖騎士を殺せば、当然他のゴブリンたちが総出で襲いかかってくるし、玉座も用意されたこの騒ぎは聖騎士が名実ともにこの砦の主となる叙勲式に他ならない。
そして叙勲式には聖職者が必要であり、そいつはさっき、令嬢が叩き殺している。

その時、令嬢が苦しみ出した。
首の裏、うなじに刻まれた忌まわしい紋章から血が滲み、痛みに喘いで歯を食いしばった。
邪神の呪いだと分かったが悠長に解呪している余裕はなく、女神官が癒しの祈りを唱えて応急処置を施していく。
そしてゴブリンは、司祭が現れないことにざわつき始めると、聖騎士が呪いの模様と同じネックレスに向けて何かを呟いた。
直後、令嬢は激痛が走ったのかついに絶叫してしまうのだった。




































