29話
午後19時過ぎ。
これから夜が楽しくなってくる時間帯に本城のビルに着くと、組長たちは意気揚々と金の話をしに踏み込んでいった。
彼もそれに紛れて中に入ると、組長が従業員相手にふんぞり返って凄んでいるうちにその場を離れ、すべきことをしに単独で動き出した。
もちろん闇雲に探し回るつもりなどなく、あらかじめユメノにホステスとして侵入していてもらっていたので、まずは落ち合った。

そして男性従業員用の制服を拝借してもらい、それに着替えた。
これでパッと見で従業員に扮せた彼は、ユメノの案内で蔵前がよく行き来しているらしい地下に向かう。
しかし地下に通じる扉の前まで来たところで、トラブルを実力行使で解決する武闘派の従業員に見咎められてしまった。
自分の父親であるヤクザが来ていることで少なからずピリピリしているのが分かっているユメノはだから、従業員との禁断の恋を演じて彼を先に逃がした。

自分が体よく利用されているのを理解しているユメノはそれでも、誰かを頼らずにはいられない彼の弱さも含めて、助けたい気持ちを愛に変えていた。
でも、ここまでサクラに必死になられたら嫉妬しないわけにはいかなかった。
そして別れ際に渡したユメノのメモには、エミも協力してくれていることが記されていた。
しかしエミは、人の皮を被った冷酷なる獣にロックされていた。

警察が動画に騙されたのが分かった頃、草場に保護されたるるなは関係者として搾り上げられようとしていた。
そして本城に会う気がないと分かった組長も、素直に引き下がるところだった。
ユメノに助けられて地下区画に入り、地図のメモを頼りに進んでいると、本当にホステスになって協力してくれているエミに鉢合わせた。

そして、蔵前がいるところに案内してくれるという。
しかし、背後には蔵前が潜んでいた。
蔵前は警察という立場を利用し、複数いる女の内の一人でしかないことを指摘し、しかも今は他の女のために動いていることで動揺を誘い、誘き出すエサにしていた。
確かに動揺させられたエミだったが、どちらが本当に悪党なのかは火を見るより明らかで、サクラがいる場所は逆に3階だと伝えたのだった。

即座に彼が引き返して捕える機会を逸した蔵前はエミに詰め寄るが、警察が信用ならないことを身を以て知っている彼女は挑戦的に侮蔑の笑みを返してやった。
それが蔵前の怒りを買い、鳩尾に一発入れられてしまう。
そして報告を受けた本城は健気に動き回る女たちを遠ざけるべく、すぐに手を打った。

ユメノ、エミ、るるなのおかげでサクラが捕まっている部屋に辿り着いた彼は、ホッと一息ついて拘束を解こうとした。
その時、サクラがぐらりと揺れて床に倒れ、こめかみから大量に出血していることが分かった。
頭を撃ち抜かれたサクラは、既に死臭を漂わせていた。

感想
ドクザクラ27話28話29話でした。
結末が見えてきた感じですが、まだ彼とサクラの子供の頃に何があったのか明かされてませんから、もうワンシリーズくらい続くかも知れませんね。
https://www.kuroneko0920.com/archives/72538



































