209話
情報エネルギーの世界で目を覚ました晴輝は、地面から伸びるオーロラのような煌びやかな扉を見た。
その一つの前に香里がいるのを見つけると、別の一つが呼んでいるように輝きを増した。
中心に裂け目ができて入れそうなことが分かった直後、香里が扉の中に入っていったのだった。
そして今、クマさんから香里の声がするので驚いていると、電話みたいにしたことでらぎ姉はシンプルに突っこんだ。

とにかくクマさんは香里本人と会話しているわけじゃなく、香里っぽく話してくれる新時代のAIクマさんだ。
では実際の香里はといえば、これを作ったのが母親の襲撃を受けた直後なので死んでいるかも知れないという。
急にまた重い話になったが、犯人が母親と分かったことで科学力を上回れる方法も分かり、それを兄に伝えるためにこのクマさんをこさえたという。
既に一度死んだものとして余生的に受け入れて達観している香里は、自分の死を嘆くより贈り物をちゃんと役立てて欲しいともいう。
だから彼は、妹の望み通りに頼もしい笑顔と返事をした。

さて、襲撃を受けてからこんな凄いクマさんを作れたのは、そもそも文字に書き起こしたりデータをキーボードで打ち込んだりするような既存の方法の常識が当てはまらないのが情報エネルギーなので、まさに一瞬でできた芸当なのだ。
人類の文明が大きくレベルアップした、いわばネットが発明されたくらいの新発見だという例えが出ると、香里はネットが何者かに独占されて使えなくなったみたいなことが情報エネルギーでも起きているのだという。
地下研究所で情報エネルギーの世界に入った香里は、そこに4つの入口があって一つを開けただけで全てを知った気になっていたことを理解した。

そして、情報エネルギーを扱える自分の存在がないと研究が進まない、だから遠く離れた地での解明は不可能だった。
逆に言えば独占されている状態を解消すれば、科学者全員が情報エネルギーを研究できるようになり、犯人の力を上回ることができる。

晴輝が見た扉は独占するための壁であり、扉を開けた彼は情報エネルギーを使える一人だと間違いなく証明されたことになる。
彼と香里、残り二つの扉を開けるのは誰なのか、血縁者ならば長兄の螢で確定するとして、香里によれば父は情報エネルギーを扱えないという。
それは見たから分かることで、情報エネルギーを扱える者同士だと体内の光の玉が見えなくなるので、父のは普通に見えたから除外できた。

つまり彼がこれからすべきことは、螢が鍵を持っているかどうか確かめに行くことだった。
死んだというニュースなど本気にしていない兄妹は、再び会えることを願い、それぞれが開けた扉の奥に踏み込んだ。
感想
インフェクション207話208話209話でした。
そう言えば螢はそんな能力を持っていましたね。
https://www.kuroneko0920.com/archives/77543
































