キスショットの愛
しかし彼は、どうやって自分を人間に戻すつもりだったのだろうと疑問を抱き、首筋から離れた。
そして羽川は、彼に殺されるのが目的で彼を助けるためにパーツを集めさせたのだろうと指摘した。
知っていることだけしか知らない羽川は、また常人には知り得ない知識を得た。

図星を指された吸血鬼は正直に、死に場所を求めてこの国に来たと明かし、500年は骨に来るほど退屈なのだと弱音を吐いた。
300年前、好奇心に任せて日ノ本に降り立った吸血鬼は偶然にも水不足の地を助ける結果をもたらし、あっという間に社を建てられ神として崇め奉られる存在になった。
その地で出会った生死郎に促される形で怪異退治の手伝いをし始め、暇は幾分和らいでいた。
今までにいないタイプの生死郎との関わりは、人外に恋らしき感情を芽生えさせることにも繋がり、この辺りのくだりで現役高校生の暦と羽川は特に聞き入った。

しかしキスショットは神ではなく化物なのだ。
やがて生死郎と出会って1年も過ぎ、今日は来るか来ないかと悶々とする日々の中、次第に訪れる村人の数が減っていった。
そして初めて生死郎が一人で社を訪れ、一緒に村に下りてみると、彼の手下も村人も人っ子一人いなくなる神隠しが起きていた。
無力さに泣き喚く生死郎の傍でキスショットが神隠しを起こしたソレに気づいた時にはもう遅く、彼女は消し飛ばされかけ、彼は消し飛ばされていた。

結局、アレの正体は分からないまま吸血鬼はまた孤独に戻り、遠い南の地で生死郎の手首から吸血鬼としての生を与え、幻想的な屋敷と超可愛いドレスと花を敷き詰めて愛の再会を演出した。
しかし生死郎は全て吸血鬼が喰らったのだと決めつけて憤怒し、退治の対象にした。

誤解ではあるが人を喰う生き物であるのは否定できず、彼女は血肉を好きなだけ与えて彼の飢えを癒すことに努め、徐々に強さを失っていった。
なぜ生死郎が数年間も人を喰わずに生きられたのか。
その謎の答えを、今の眷属は今知った。

その何年間で生死郎は己の肉体を切り刻んで鍛え、切り刻み、重ねて鍛えを繰り返し、妖刀心渡のレプリカを造り上げて吸血鬼の前に携えていくと、それを置き土産に呪いの言葉を吐き出したのだが、太陽に焼かれる中、二人は素直に感情を示したのだった。
その後悔を数百年間引き摺ってきたキスショットは、また訪れたこの国で、暦のためには命を捧げるつもりだった。

実は同じ思いで殺し合っていたのが分かったが、殺せと迫られた彼はいよいよ忍野に助けを求め…
感想
化物語14巻でした。
面白度☆8 退屈度☆8
何気ない毎日こそ幸せだという意見が多いですが、終わりが見えない人生ならそんなこと言ってられないでしょうね。
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