168話
悲しい二人を見送った一行は、いよいよカルンナッハの目前まで来たが、お尋ね者という立場を思い出し、隠密行動で藪の中を進んで近づいていた。
死ぬほど愛していても彼を甘やかさないルーミは、忘れずに変声飴を舐めとけと注意しているうちに、リーメアリーと同じく神々しい雰囲気を放つ小ぢんまりとしたカルンナッハが見えてきた。
宙に浮かぶ魔法陣にすっぽり収まるサイズ感の町だが、住人がいないので町ではなく施設らしく、ルーミも詳細は知らないらしい。

さてどうやって入り込めばいいのか思案し始めたその時、また上空から竜を駆ったリーメアリーが登場。
命の恩人なのにまたあいつ呼ばわりされた神々しい女の彼に対するストレスは蓄積され続けているようで、思わぬ足止めがあろうと予想以上の遅さでまたガッカリしていた。
とは言え褒めれるところがあれば褒めるメリハリもあって、自分の友人が訪ねてくるという予定にしてあるから、門兵には名を偽り、変装もして、決してバレて自分に迷惑をかけるなと注意すると、やっぱり竜には乗せてくれずに先に戻った。

ということで彼がお馴染みの女装をしたところで、いざ施設カルンナッハに挑戦。
言われた通りに名乗れば拍子抜けするほどに信用されて門が開き、彼らはありがたく敷地内に入ると、地中海沿岸風の町並みなのにやはりひと気がない。
仁科も見覚えがないらしく、まずはリーメアリーと合流すべきというところで、ルーミが普通に上位職にタメ口を聞いているのは同期だからだと判明すると、彼女も選ばれしパラディンとしてのプライドで荒ぶった。

さて腰を落ち着けたところでリーメアリーは当然、ユーマの手紙では理解できなかったこの街へ来た目的を訊ねた。
彼は逡巡した。
嫉妬深い神の仁科を殺せば短命の呪いが解けるが、彼女を殺せるのはこの街にある神殺しの剣だけなのに、自分はまだ殺す気はないなんて言えやしないから。
仁科がどうして嫉妬深い神になったのか、それは本人に責任があるのかどうかを突き止めないうちに殺すなんてあり得ないと考えているが、この世界の住人は納得しないだろうから言えやしない。

ということで、さっきはルーミにもその辺の真実は喋るなと口止めしたので、ストレートに神殺しの剣だけ欲しいと答え、当然リーメアリーはその理由を更に訊ねた。
だから嫉妬深い神を殺すためと答えれば、リーメアリーは嘲笑を返し、無理なのでお引き取りを願った。
なぜ無理なのか。
それは神殺しの剣の封印こそが嫉妬深い神を眠り続けさせることになるので、渡せるはずがないという。

つまりそれは、剣の封印を解けば仁科の記憶が蘇るという意味なのか…


































