192話
教団が殺しをやりまくっているなんて知らなかった聡は、カレンの元に急いだ。
教祖を仕留められる算段を思いついた千歌は、サトリという人の心を読む妖怪がどうやって倒されたか知っているかと、小夜子に問うた。
昔話によれば、サトリは木こりを喰おうとしたのだが、偶然飛び散った木の欠片に目を潰され、予想だにしない行動をする人間に恐れをなしたという。
つまり教祖も偶然の産物まで読むことは不可能なので、偶然が引き起こす攻撃を増やせば仕留められると導き出した。

その増やし方に何を使うのかも聞いた小夜子がそれならと納得すると他のメデューサと楊も集結し、一致団結の意思を固めた。
さっそく小夜子は亡骸から装束を剥ぎ取り始めた。
その意味が分からない教祖は取りあえず手近の信者に小夜子を殺せと命じるが、そうはさせまいと千歌が抜かりなく守りに徹し、他のメデューサもそれぞれ信者の相手をして足止めをし続ける。
犬養とやり合っている若本は何とか持ちこたえているが、千歌たちの作戦の時間も稼ぎたいし重傷の隊長の手当てもしたいしで焦りを募らせる。
だが隊長もやられっぱなしではいられず、背後の奴が気を抜いた瞬間に怪力で頭を押し潰した。

そこで教祖から手を貸せと求められた犬養は若本たちとの戦いから離脱したので、隊長はまだしばらく生き永らえそうだった。
メデューサの乱戦の方でも霧子が、もう満足に戦えそうにない満身創痍の瀬里に千歌作戦のある役割を頼んだ。
隊長を倉庫に運んで応急処置をした若本がまた死地に戻ると、入れ替わりで入って来たのが妹の身体を借りている瀬里だった。
瀬里は隊長には目も暮れず、一斗缶の中身ぶちまけを遂行するため持ち上げようとするが、長い断食と数々の凌辱で満杯の一斗缶さえ持ち上げられない。
その時、隊長が手を貸し、皮肉にもそれなりの時間を一緒に過ごした二人が協力し合うことになった。

激しい戦いの中、せっせと装束を剥ぎ取ってそれを繋げていった小夜子は、後少し足りないとなれば自分も脱いで繋ぎ、最後の一人分は千歌が脱いで渡した。
それで完成したのは教祖がいる方と分ける、衣服のラインのようなものだった。
直後、メデューサたちは油で点ける燭台を倒し教祖側にぶちまけた。
これで焼殺でも狙ったのだろうと察した教祖は落ち着き払い、灯りに使うぐらいなのだからこの程度のことで燃え広がる油ではないと教えてやった。
もちろんそれを重々承知した上での作戦で、だから衣服にも染みこませることで燃えるのだと、小夜子も教えてやった。

しかし衣服のラインが燃えた程度では焼殺どころか、教祖の目を惑わすことも厳しい。
そうイキった教祖は、足元の油で無様に滑って尻餅をついた。
いつの間にか教祖側が覆い尽くされるほど油でひたひたになっており、それは戦いに加わらずにしれっと動いていた瀬里と隊長の共同作業の成果だった。
どんな動きをするか分からない油床で繰り広げられるオイルバトルは、どちらに軍配が上がるのか。



































