241話
晴輝たちが合流し、紗月は一心地ついた。
一世一代の恋と思って生存者を率いてきた旅のゴールを迎え、嫌な性格を如何なく発揮してここまでやってこれたからこそ、相当な精神的な成長を感じ、大人になれたと実感できた。
その過程で初恋と思っていた気持ちの正体も理解したことで、一抹の寂しさも感じていた。
そんな訳知り顔の紗月を見た晴輝は、みるみる表情を曇らせて青ざめた。

それをスルーしたのか気づいてないのか、紗月はさっそく螢に託された試験薬を取り出し、情報エネルギーが使えるかどうか確かめて欲しいと晴輝に差し出した。
すると彼は自分ではなく紗月に使った結果、試験薬はじわりと反応を示した。

ついさっき不思議な力を使ったばかりの紗月は特に驚きもしないが、使う前から晴輝が見抜いていた節が気になった。
情報エネルギーを使える人だけが見える特別な視界を聞いた紗月もすぐに新世界の景色が見えるようになって驚いたのも束の間、神城も寄ってきたので晴輝は、神城は情報エネルギーを使える状態になく、その驚異的な体はとてつもなく進化しているだけだと教えてあげた。
ともあれ話の続きは食事休憩を兼ねながらしようとらぎ姉が言うので、そうすることになったが、晴輝の顔は晴れない。
エリックの記憶を見て激しく動揺したのは、情報エネルギーを使える性質が天宮兄妹に共通しているように、紗月も含まれるのなら血の繋がった妹としか思えないからだった。

肉野菜炒めにおにぎりに食事らしい食事に舌鼓を打ち、ながみんの腹がまた妊婦の如く膨らんだところで、小難しい話の続きを始めることに。
情報エネルギーの世界は4つの扉で閉ざされてそのままなら探索できないが、今のところ晴輝、香里、紗月で3つが開かれているので、残り一つは螢が開けることにより、犯人の科学力を上回れる可能性が出てくることになる。
だから次にすべきことは隔離地域から出て螢と合流し、最後の扉を開いてもらうことだとみんなが理解したところで、麗は我が子3人とその友達に世界の命運を委ねた犯人に、同じ母親として思いを馳せた。

何はともあれ犯人を上回れなければ世界を創り替えられるのだから、神城は大虐殺を行うような奴の創る世界はクソだと吐き捨てた。
その通りだと声をあげるのはモブ隊員ばかりで、晴輝らは誰も渚を罵ろうとはしなかった。
そうこうしているうちに車の調達ができたので、いざ隔離地域外へと士気が高まっていく。
その思いを実現させられるのは晴輝なのだが、犯人の息子は今更言うに事欠いて、殺し合い以外にも解決の道があるはずだと、日和ったと思われても仕方ない意見を繰り出した。
神城がぶちキレ寸前になっても構わず、超科学力は居場所を特定するためであり、殺し合いではなく話し合うために行くのだと言い切った。

その生温さに神城が怒声を発しかけたその時、それをかき消すとてつもない爆音が轟いた。
上空から聞こえる爆音が徐々に小さくなって消えていくと、今度は自衛隊がぞろぞろと現れ、場違いなスーツ男が一言、爆音は超音速のミサイルが消えたが故に生じたとてつもない空気の乱れだと説明した。
そして晴輝は、クズ人間だと思っている兄の登場にあんぐりとなった。

































