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250話

おもむろに立ち上がり、神とは何たるかを語りながら渚に発砲した。

 

 

全く避けるそぶりもなかった渚は素直に被弾し、反対側の側頭部から血が噴き出したその時、晴輝は慌てて駆け寄るが、薬莢が宙に浮いたまま、出血もそのまま、渚も神父もピクリとも動かなくなった。

 

周りの人も動いておらず、また何らかの方法で時間でも止まったのかと思ったその時、我が兄妹たちだけが動き出した。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

また渚の血の引くものだけの世界になると、香里は晴輝に抱きついて飢えていた次兄成分を摂取しようと、遠慮なく甘え出した。

 

もちろん螢は嫌われたままだと分かったその時、頭をブチ抜かれた渚が喋り出した。

 

よく分からないが撃たれた身体は椅子に座ったまま、分身みたいに普通に傍に立って明るく喋っているもう一人が、この状況は常人には感知できない超スピードで会話していて、撃たれたのは変わらないので死ぬまでの引継ぎの時間だという。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

誰か特定できなかったがこの場で殺されるのは理解していた渚は、躊躇なく弾いた神父を褒めつつ、焦る晴輝に向け、これで自分は生き返らないと告げた。

 

しかしやはり晴輝は、母親の死など望んでいなかった。

 

子供の頃の渚が死の間際の母が笑った気持ちを知りたいと思ったように、晴輝も母の気持ちを疑問に思うばかりだが、分かるはずもない。

 

それでいいと優しく答える渚は、死を奪われたくないのだと伝えた。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

それが渚の答えだとして、晴輝はどの答えを選ぶのか。

 

 

兄が選べないのを見越していた香里はだから、家族会議が終わったら予定通りにやるべきことをやると言うのも、全員集合する前に真意を聞かされて消化できているからだった。

 

だから母との別れが間近に迫っていても、科学者同士の軽口を叩き合えるメンタル状態だった。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

そして人の感情が読める特技について訊かれた螢は、障壁とも恩恵とも答えず、結果的に弟妹を守れたのだから後悔はないと答えた。

 

紗月も真実を隠されていたことを謝られるが、今更母親とも思えない紗月は、謝る相手が違うと最後まで敵対心を露わにした。

 

 

お開きの時間が近づくと、香里は改めて母の死後にすべきことを確認するが、渚は意味深な一言を呟き、それを突かれる前に宇宙の真理までさらっと発表すると、何も考えてない肝っ玉母さんみたいな一言を子供たちに授け、時間の流れを戻した。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

直後、発砲音と血が噴き出す音が響いた。

 

 

他のメンバーが神父の凶行に驚く中、晴輝はやはり哀しさを隠せず、香里はこの場をまとめるために動いた。

 

母が死んだとは思えない明るさを振りまき、今から巨大自分像のところに行くけど記念写真でも撮ろうといい、異常に崇拝してくる神父には自分も一人の人間だと釘を刺した。

 

それも重々承知している神父は、いずれ神のような完璧な存在になるから問題なしだと答えるので、香里もその未来像にワクワクした。

 

しかしまだ心の整理がついてない晴輝がちょっと待ってと香里の腕を掴んだその時、渚の足元からブラックホールのように消え始めた。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

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