15秒動画
三輪は南との約束を守るため、賞金を彼女の家族に渡しに行った。
娘が命をかけて手に入れようとしたお金なら、親らしく悲しんで涙の一つも見せるだろうと予想したが、南が話してくれたように、血も涙もない腐った心の持ち主で、真城は怒りにかられて母親の腕を叩き折り、町谷が玄関先に金をばら撒いた。
町谷が間に入らなかったら真城は母親を殺すつもりだった。
あんな親だと知ったら南も喜ぶはずだと揺るぎない笑顔で言う。

その時、新たなデッドチューブの案内が送られてきた。
次の内容は「15秒動画」だった。
期限は1週間。それぞれにアイデアを考えることになり、各々帰途についた。
町谷は手駒から聞いた真城が最初にあげた家族殺しの動画を観ようとしたが、それはVIP会員専用で閲覧できなかった。
その時、妹の花菜がいきなり声をかけてきた。
入ってきたことに気付いていなかった町谷は異常に驚いてしまった。
花菜は新しくきた先生の授業でカメラが必要だから貸して欲しいと頼みにきたのだが、彼は父からもらった大事なものだしスマホで十分だろと断る。
すると、他の子と違う本格的なカメラがいいと駄々をこね、実は見せられない動画が入ってるからじゃないの?とからかってきた。
そんな何気ないやりとりにさえ、敏感に反応して否定してしまう町谷だった。
次の日。
真城が学校を休んだので、町谷と三輪は連れ立って様子を見に行くことにした。
15秒動画は特に大したものは投稿されてなかったが、一つ虫を15秒かけてゆっくり指で潰すという気味の悪い動画があがっていた。
その頃真城は、バスルームに赤い絵の具をぶちまけて湯船に浸かり、家族のことを思い出していた。
謝りながら殺された父親。関係ないと怯えながら殺された母親。体中痣だらけになって死んでいる妹。
そこまで思い出した時、町谷が呼ぶ声に目を覚まして、彼の顔を見るなりキスをした。
どうしてそこまで町谷のことを好きなのか率直に訊いた三輪に、真城は同じ世界を見ている初めて出会った人が町谷だったからだと答えた。
このバスルームみたいな偽者じゃなく、本物の血、感情、臭い、感触じゃないと彼も勃起しないからだと。

そこで真城は、15秒で「スイカ割り」を撮ろうと言い出した。
真夜中に起きて目隠しをし、3回回ってから部屋の中のどこかで寝ている家族の頭を叩き割る。だから、まだ家族のいる町谷か三輪の家族でやろうと。

もちろん二人は断った。
すると真城は家族を殺したことを、どうしようもない汚れがついた髪を切ったようなものだと言い返した。
その帰り。町谷に手駒の雇い主のジョージ・Lという男が声をかけてきた。
彼はデッドチューブの視聴者で、真城と町谷の大ファンらしい。
そして去り際に、一人でいる町谷を見て、昔はあんなに一緒だったのにと、何か知っている様子を見せて去って行った。
家に帰ると、珍しく父親が既に帰っていた。
花菜の新しい担任が家庭訪問に来たかららしい。その日は父特製のカレーと、担任からもらったケーキが出された。
疲れたのか早々にベッドに寝転んだ町谷は、幼い日に出会った真城らしき女の子のことを夢に見ていた。
次の日部室に顔を出すと、三輪にいきなり三日も休んで何してたんだよ?と訊かれ、そこで三日も寝続けていたことに気付いた。
彼がそれに答える前に、三輪は慌てたように15秒動画を見せてきた。
最初とは比べようもないほど内容は過激になっていて、いじめの暴力動画、女子が脱がされているエロ動画、そしてその女子が真城が提案したのと同じ、スイカ割りをしていた。

脅されているのか、囃し立てられながらバットを叩き付けている少女の名前は妹と同じ名前を呼ばれている。
さらに、殺されている男は間違いなく町谷の父親だった。
感想
デッドチューブ6巻でした。
まさに孤島ミステリだと思ってごちゃごちゃ頭を働かせましたが、結局シンプルに第三者が犯人だったとは。
まあ、最初の被害者を疑ったことだけ当たってました。
そして15秒。ついに町谷ファミリーも血みどろの争いに巻き込まれたようでご愁傷様です。
https://www.kuroneko0920.com/archives/14562


































