43話
今治は中村の話を進路相談室で聞くことにした。
中村は、服巻が投票した犯人だと暴露されたのを近くで見ていて、彼が風俗嬢といかがわしい行為をしているのも、彼の妻が不倫しているのも、彼が取り乱すのを見ながら自分のスマホに流れ込んできたその動画を観ていたのだった。
著者名:江戸川エドガワ 引用元:エブリスタ
中村は生贄投票と題されたそのアプリが気になり、家に帰ってから調べていた。
すると、「私立柳沢高校集団ヒステリー事件」が検索結果に出てきた。
そして、その事件の詳細な内容の中に今治の名前を見つけたので、それが事実かどうか直接確かめずにはいられなかったのだ。
今治は隠すことなくその通りだと答えた。
犯人の子は逮捕され、クラスの大半は学校に来なくなった。
なんとか学校に来ていたクラスメイトも、それぞれ別のクラスに振り分けられて、生贄投票の餌食になったクラスは事実上の学級閉鎖状態になった。
今治はそこまでを、寂しそうな表情で話した。
今もクラスのほとんどと連絡がつかないが、当時の今治は意地になって学校に通い続けていたと、笑顔で答えた。
著者名:江戸川エドガワ 引用元:エブリスタ
酷い目に遭い、クラスが瓦解したことを知っている編入先のクラスメイトは優しくしてくれたが、ふとした拍子になると一人でいることが多かった。
結局、本質的に痛みを分かち合える相手がいなかったせいだった。
教師になった今もまた、生贄投票の標的にされてしまったが、中村には毅然とした態度で最善を尽くすと言った。
すると中村は、教師の服巻が社会的死を食らったせいか、誰より今治のことを心配していた。
今はまだ、かつての生贄投票に今治が関わっていたことを知っている生徒は自分だけだけど、いずれ他にも知る生徒が出てくるのは時間の問題だった。
著者名:江戸川エドガワ 引用元:エブリスタ
服巻のように好奇や蔑みの目で今治が見られるのが嫌だった中村は、その時になったら自分から説明すると言う今治の考えを否定し、自分が考えている作戦を話し出した。
情報が拡散されるのも、調べようとする行動も止められないなら、逆に自分たちで情報を作ってネットに拡散すればいいんだと言った。
ほとんどの人が検索結果の1ページ目しか観ないことを逆手に取り、今治美奈都のワードで記事やツイートを量産し、かつての生贄投票の詳細が載った記事に辿り着かないようにする。
著者名:江戸川エドガワ 引用元:エブリスタ
それが中村の考えだった。



































