57話
ヤクザ連中は水野の組長襲名祝賀会を密やかに開いていた。
この会に出席しているのは水野が信頼を置いている限られた構成員だけで、それぞれに個性も癖も強そうな顔が揃っていた。

そしてめでたい席だとしても、話題は五菱がけしかけてくるだろうヒットマンについて。
そこで水野は思い出した小夜子の話題を出し、後は若頭の石黒が引き継いだ。
天童組は、五菱が人工的に殺人鬼を作り上げて殺人を請け負う裏家業をしているのに目をつけ、暗殺や保険金殺人のシェアをぶんどって利益を貪ろうと画策したが、五菱に跳ね除けられて逆に水野は命を狙われる立場になったのだった。
そして、この船上襲名会を利用して送り込まれてきた殺し屋が小夜子だと気づいた。
小夜子だけは日本の事件で、当時世間を震撼させたとして素顔まで出回っていたからだ。
チャイナ服もさっき擦れ違ったカチューシャ美少女だと思い出した。
そしてメデューサたちに実戦開始が告げられる前から、小夜子はヤクザに狙われる立場になった。

豪華な食事を済ませたメデューサたちはそれぞれに自由にばらけ、千歌は小夜子のトイレを美伊那と一緒に待ちながら、口直しに甘いモノでも食べようかと意地汚さを発揮しようとしていた。
だから、スカートの中を堂々と覗かれているのに気づくのが遅れた。

覗いていたのは、ホスト風のチャラそうな男で、すぐに制裁を加えた。
ノリもホストそのものといった感じで、食べ物で千歌を釣ろうとしつつ、小夜子の写真を見せて親戚の子ではぐれてしまったと嘘をつき、探しているのだという。
当然二人は知らないと答え、すぐに別れたが、男は去り行く二人のローアングルからのパンモロを思い出し、下卑た笑みを零した。

続いて天童組のゴスロリ少女は、霧子に接触していた。
霧子があのバンドのボーカルだと見抜き、ファンだからという理由で話しかけたが、霧子は否定して購入したお土産を手にすぐその場を離れた。

小夜子が部屋に戻ってくると、千歌たちはすぐに得体の知れない男が探していることを伝えた。
美伊那はさっきのやり取りで、芸能人のヤクザもいることからあのホスト風もヤクザだと見抜き、おそらく今回の殺し合いの相手はヤクザだろうと踏んだ。
そう二人に考えを話した直後、とてつもない眠気に襲われて眠りに落ちた。
メデューサたちの様子をモニタリングしていた女医は、薬が効いてきたことを確認し、高木から監視カメラのシステムをハッキングしたと報告を受け、実験を開始した。
耳に付けさせている機器を作動させ、目を覚まさせる。
殺人鬼の人格に支配されて起き出したメデューサたちに、特別なドレスが用意されていることを伝え、着替えるよう指示を出してデッキに集合をかけた。
彼女たちは皆、華やかでセクシーなドレスに身を包み、デッキに集合した。

これから、ヤクザとの殺し合いの始まりだった。



































