76話
いきなりの濃厚のキスに驚いた千歌は、ただ単に興奮して抑えられなくなったのだと思い、諌めて体を離した。
だが、小夜子が精神的にも弱り切っているだけなのだとすぐ分かった。
子供が泣きながら母親に縋るような声で千歌を呼んだ小夜子は、まず謝った。
作戦には自信があったのに蓋を開けてみれば相手の可能性を見誤ってあわや仲間を危険に晒し、自分は重傷を負って捕まり、足手まといになっただけ。

千歌を守ること。
それが小夜子の最優先事項なのにできなかった。
だが千歌は、自分を責めた。
あれだけ自信に満ち溢れていた小夜子が泣きじゃくり、親の衰えを実感した時のように小さく見えた。
千歌の中でこそ、小夜子はある意味兄よりも絶望から掬い上げてくれた存在だった。
夜の自分でも好意を示して受け入れてくれ、愛して受け入れてくれたのは小夜子だった。
千歌はどうにか慰めてやりたくなり、同じように不意打ちのキスをした。

今度は逆に驚かされた小夜子だったが、千歌はそっと言葉をかけながらまた唇を塞いだ。
千歌のマーダーモデル、ヘンリー・リー・ルーカスは愛と言うものを与えられずに育った結果、相棒のオーティスと共に360人以上を殺害した。
そんな彼でも、相棒の姪であるベッキーだけは人として見れるかけがえのない存在だった。
ベッキーも彼に懐き、やがて愛するようになり、殺人鬼としての彼を受け入れた。
ベッキーのおかげで愛を知ったヘンリーのように、千歌はまるで小夜子を彼のベッキーと同じように受け入れていた。
女の子同士で激しく求め合うキスのいやらしい音が響き、乳首がピンと立った小夜子の胸に千歌の手が伸びる。

舌も乳首に伸びていき、胸の膨らみに沿って唾液の痕が残っていく。
小夜子は千歌の優しい愛撫に、喘がずにはいられない。
包帯が巻かれた痛々しい部位にまで下りると、千歌はまた強く自分を責めた。
愛に溢れた行為に垣根などなく、汚いから駄目だと言われても、一番敏感な部分で気持ちよくしてあげたい思いが止まらない。
千歌はくぱっと広げてから舌を入れ、また甘い言葉をかけた。
十分に感じさせられた小夜子はビクビクと震え、一緒に気持ちよくなりたいと望む。

千歌は生まれて初めての感情に突き動かされていた。
小夜子が望むなら応えてやりたい。
共に気持ちよくなりたいというなら吝かではない。
千歌もパンツを脱いでもう軽く濡れている敏感な部分を小夜子のそれと擦り合わせた。
この時が一番愛と快感を感じられる瞬間だった。

結局ヘンリーは、ベッキーも手にかけていた。
その時に後悔したのか、慟哭したのか分からない。
ただ小夜子も、日常でも羽黒においても愛する者を殺していた。
貝合せで十分気持ちよくなったところで、束の間の愛の時間は落ち着きを取り戻した。
二人は最後にそっとキスをした。
直後、津波にでもぶち当たったかのように救命ボート全体が激しく揺れた。
あまりの衝撃に二人が浮き上がるほどだった正体は、上で起こっている何かのせいのようだった。
天井はみるみるうちにひび割れていく。
水胞のように天井が下方に膨れ上がったかと思うと、突き破ってかなり大きい斧が飛び出てきた。
そして開いた穴から、神崎がひょっこり顔を覗かせた。
千歌はナイフを構え、戦闘体勢を取った。
だが、近距離で対峙して初めて分かる神崎との圧倒的な体格差は、あまりに大きかった。

神崎は千歌が生きていることに驚いたが、すぐ深く考えることを止めた。
神崎が求めるのは、十分に力を解放できる戦いをすることだけだった。
感想
サタノファニ74話75話76話でした。
小夜子が辱められるシーンが続きましたが、アナルを犯されるところまでいかなかったのがちょっと残念です。
でも、仁奈の作戦がこうもあっさり成功するとは思えないので、神崎とバトルに入ると予想します。
https://www.kuroneko0920.com/archives/54300



































