81話
まさか幼馴染みの仁科が嫉妬深い神などと信じ難い彼は訳が分からず大きな声を出し、取りあえず光り輝く中で眠り続けている彼女に触れようとした。
瞬間、バニーユに触らないでと言われて手を止めた。
触れただけで死ぬらしく、だから手出しできないということらしい。
ルーミに「知ってる人?」と訊かれ、幼馴染みだと隠し立てすることなく明かした彼は、安らかに眠る神の名を叫び、神の起床がこの世界の女の子の死だということを忘れている事実を知らしめた。

しかし誰も慌てず、カヅチが札と呪文がなければ魔法が解除されることはないという。
つまり、このコールドスリープみたいな機械のパスワードとIDカードが必要らしい。
病院から一緒にダイブした仁科に何があったのか?
そもそも、同じ日時に飛ばされたのかも分からない。
仁科については何も分からない。
次の目標に仁科を起こすことを定めた彼は、グッと歯を食いしばって気合を入れた。

直後、シリアスな空気もなんのその、カヅチはちょっと嬉しそうにアマネと交尾をしてやって欲しいと彼に頼んできた。
真剣な場面でいきなり姉に処女の行く末を決められそうになったアマネは、こんな時でも言葉を発さず一睨みして抗議の意を示すが、これも妹を思ってのこと。
先に逝ったエルザより年上のアマネはいつ崩月が訪れてもおかしくない状況だったので、カヅチからすれば本当にこの場でおっぱじめて欲しいくらいのことだった。

それでもアマネは無言を貫き、彼は初めて聞けるかも知れないアマネの声を聞くチャンスに本人をチラ見した。
一方、ミースの街にサクッと侵入してガーディアンの一人、ミサキとの接触に成功していたガリアはいい感じに広い彼女の部屋を気に入り、怪我の手当てをしてくれたのに食い散らかそうとしていた。
しかし、悪なる気配を察したのか、ミサキは躊躇わずにナイフで斬りかかったが、防御フィールドに覆われて刃は届かなかった。

今までのところ、異常なほど生傷が多いくらいしか異常はなかったはずだが、ミサキは「お姉ちゃん」と呼ばれることで最初から不審者だと見抜いていたのだ。
ガーディアンであるミサキの知名度はこの町において100%であり、皆が敬意を持って名前で呼んでくるはずなのに、お姉ちゃん呼びなのは町民ではないからであり、おまけに高い壁に囲まれ見張りもいるから単なる人間が侵入してくることはほぼ不可能。
ならば、この生傷少女は人間ではないと結論づけたのだ。
侵入者だと見抜かれたとて、特に慌てないガリアはミサキの首のアザに着目し、彼女もヨータとの交尾経験者だと指摘しつつ、この部屋を奪ってじっくり食事する計画が頓挫したことを残念がりながら、ド派手にイクことで仕切り直すことにした。

直後、大爆発が起こり、ミサキ部屋の壁が吹き飛んだ。
外にいた通行人が突然の大爆発に慌てふためく中、何とか直撃を避けていたミサキ。
それでも、全くアクションを起こさないノーモーションの魔法攻撃に戦慄。

防御フィールドや詠唱も何もない爆発攻撃を目撃したミサキが魔女か?と問うと、ガリアは正直に肯定した。
相手が魔女だと分かっても怖気づかないミサキは素直に勝ち目のない戦力差を認め、自分では勝てないと言い切った。
物分かりが良過ぎて驚いたガリアはそれはそれとして、遠慮なく食べさせてもらうというと、ミサキはそれも甘んじて承諾したのだ。
しかし、ガーディアンとはその名の通りに敵をぶち殺すことが仕事ではなく、街の住民を守ることが第一の使命。
ぶち壊された壁に空いた大穴から飛び降りて敵前逃亡したミサキは、警報器の如く魔女侵入を声高に叫んで逃げろと指示し始めた。
ミサキの指示を疑わない住民たちはすぐさま逃げ始め、一番恐れていた逃亡を図られたガリアは単純に自分の詰めの甘さを嘆き叫ぶのだった。




































