8話
15歳差の夫婦、高雪とレイは数少ない蓮澄の娯楽である秋祭りにやって来た。
高雪は鳥居のモチーフを見るなり興味を示してパシャパシャと夢中で写真を撮り始めるが、レイはそういった歴史やアートに全く興味がなく、さっそくの退屈な時間に辟易した。
お互いの趣味を尊重できない夫婦が負のスパイラルでストレスを与え合っていると、風見夫婦を祭りに招待した議員が声をかけてきた。
傍にはもちろん、藤花の夫であり秘書の橋元健が付き添っていた。
レイはそつなく挨拶しながら、とんでもないモラハラ夫だと聞いている男を値踏みし始めた。

家に遊びに来た藤花から聞いた話では耳を塞ぎたくなる酷い夫だったので、この祭りの会場ではお互い初対面のフリをして、どんな人間か見極める予定だった。
階段を上がった先に広がる境内では多くの露店が出ていて、いつになくこの町にしては賑わいを見せていた。
どの町にもありそうな、懐かしさと喧騒が感じられる光景だが、メインの催し物は社殿の前で行われる奉納の神楽舞いらしく、松明の灯りだけになるそれは神秘的だという。
議員に誘われて来賓席に落ち着いた夫婦のところにお酒が運ばれてきた。
そこで給仕役をしていたのが藤花だった。
レイと藤花は予定通り、初対面を装って軽く挨拶を交わすに止めた。

議員は家柄の良さの自慢を織り交ぜながら、町を豊かにした父の偉業も讃えつつ、自分も確かにビジョンを持って開発に取り組んでいることをアピールし始めた。
ここでもレイは持ち上げる言葉を的確に挟んで議員をいい気分にさせるが、周りの男もまだ若い人妻の和装から発せられる色気に中てられ始めた。
ただ、高雪はまるで会話に入らず、妻に小突かれるとトイレにと断って逃げるように離れた。
夫について来た立場のレイは、その態度にまたストレスを感じてしまう。

話しの合わない席から早々に退散した高雪は、自治会が運営しているガラガラに難癖をつけている子供にほっこりし、誘われるまま空いている席に腰を落ち着けた。
離婚したばかりの男が項垂れているが、堅苦しくない空気に自然と酒が進む高雪。
オネエ口調になるくらい気持ち良く酔ってくると、レイへの不満が口をついて出てくる。
妻が15歳下だと言えば若さを羨ましがられるが、話が合わない、見下されている気がする、年寄り扱いされるといった具合で冷めていっていた。
趣味も価値観も合わず、家の中で落ち着けるのは仕事部屋だけ。
どれだけ美人で可愛くても、勃起できないほどになっていた。

そこまでぶちまけたところで、村田は夫婦にだけ分かることがあるのに理解を示してから、来賓席にビールを運びに行った。
そこで村田は、以前激しく抱いた人妻の藤花がいるのに気づき、何かを訴えるように視線を送った。
夫から地元のマダムたちに紹介された藤花は、洗礼とも言うべき田舎特有のねちっこいアドバイスを聞かされ始めた。
すると健はスッと妻の前に出て、相手が気を悪くしないようにうまく切り上げさせながら、妻への愛を恥ずかしげもなく披露した。
助けられたように見えても、夫がどれだけ他人を見下している人間か思い知っている藤花は、流れに身を任せるだけにした。

神楽の時間が近づいてくると、議員の指示で健も高雪探しに同行した。
人混みを探しても見つからないと、レイはこのタイミングで健の本性を見定めようと思い、ひと気のない社殿の奥の見晴らし台の方を探しに行くフリで連れ出した。
案の定というか、先に盛っているカップルが浴衣をはだけさせてヤっている場面に遭遇すると、向こうの方がきまり悪そうに駆け下りていった。
そして代わりに二人きりになったレイは、健を動揺させるつもりで全てお見通しのように鎌をかけてみた。
しかし、逆に自信過剰な振舞いを指摘されてしまう。
健は妻、議員、田舎者を見下していることを堂々と白状し、欲しいものは何が何でも手に入れたいタイプなのだと打ち明けた。
普通なら軽蔑や不快感を感じるところが、議員秘書とは思えない言い草にレイは興奮させられた。

自信に満ち溢れた目が射るような視線を送り、ネクタイが緩められる。
疼く股間をサッと撫でられ、首から肩、腕、手と熱い体温が移っていく。
神楽を照らし出す松明が轟々と燃え始めるのと同時に、ミイラ取りがミイラになるようにレイは唇を奪われ、快感に抗う術を断たれた。

風俗に行っている夫に対抗して、出会い系で浮気したレイ。
今は友人の夫に気持ち良くさせられている。
そしてまだ、高雪に最近の動向を怪しまれていることを気づいていなかった。
感想
夫を噛む2巻5話6話7話8話でした。
順調に胸糞悪い男と別れた和子ですが、かつては愛があったのは事実なので、いつの世も移り変わる男女の愛はやるせないものです。
やはり、互いを思いやる心、思いやれる相手でいることが円満の秘訣ですね。
https://www.kuroneko0920.com/archives/62174



































