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139話

ホテル前駐車場にいた関と明石の大学生コンビは、隊長である晴輝について意見を擦り合わせていた。

 

年下男子の高校生なのは事実なので同じ認識なのは当然だったが。二人とも共通して抱いていた感情は怖いだった。

 

自分たちオタクとは正反対の位置にいるとしか思えない、スポーツマン、ヤリチンリア充、コミュ力も高くて、日常生活で関わり合いたくないタイプだった。

 

ただその実直な性格で接してくれるうちに、二人の中に彼を応援したい気持ちが芽生えた。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

しかし、脱出目前の今の緊急事態に陥った状況で出された指示が、駐車場の指揮官として精鋭部隊を率い、避難者を守れという具体性のない丸投げなものだったので、二人は慌てふためくしかなかった。

 

信頼されていると言えば聞こえはいいが、約5千人の命を任されたプレッシャーは計り知れない。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

それでも、お互いの知識を活かして指示を全うするしかなかった。

 

 

5千人もの人が密集している駐車場で、ランダムに新たな保菌者に変化していっている。

轟もながみんもいない中、戦力と呼べるのは精鋭部隊といっても軽く銃の訓練を受けた素人部隊のみ。

どんどん新種の保菌者に変化している以上、複数で取り囲んで撃ちまくって対処するしかない。

 

そこまで整理している間にも、あちこちでパニックが起き始めていた。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

とてもじゃないが連携なんて無理だと愚痴った直後、また新たな保菌者が発生して叫び声が響き渡った。

 

 

二人は詳細を確認したくても背の低さでどこでどんな保菌者が出て、何が起こっているのかさっぱり見えず、そうこうしているうちに銃声が轟いた。

 

その攻撃で倒せたのかどうかも分からず、銃声でまた避難者たちの不安とパニックが増大されていく。

 

それでも、駐車場に留まっているのは、隊長と一緒に信頼を築いてきた成果だと確認できた。

それも、このままではいつまで持つかは心許ない。

 

 

避難者が蜘蛛の子を散らすように逃げ出してしまったら、バスで脱出など不可能になってしまう。

 

その前に画期的な指揮方法で導かなければならず、歴史オタクの明石にその重大任務が託された。

 

その時、二人の目の前でフラフラと集団からはみ出してくる一人の男が現れた。

 

男は具合を悪くしたように震えてその場に倒れた。

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著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

死んだように動かなくなったかと思えば、いきなり服がはじけ飛ぶほど筋肉を膨れ上がらせて体の形を変え始めた。

 

またパニックで人々が我先にと距離を置こうとしている間に、新たな保菌者になった男は筋肉だけをシンプルに肥大させたのか、10頭身はゆうに超えているであろうナイススタイルに変貌した。

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著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

しかし暴れ回る前に精鋭部隊が到着し、さっきまで人間だったとしても躊躇わずに銃撃を開始した

 

 

だがやはり、急造の素人が撃った弾は標的を外れ、流れ弾の一発が単に保菌者の後ろにいた避難者に命中してしまうのだった。

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著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

これはさすがに今までの比じゃなく、目撃者の悲鳴が耳を劈いた。

 

 

保菌者を倒した功績は帳消しどころかマイナス。

 

罪のない人を撃ち殺してしまった男は顔面蒼白になり、コンビを組んでいた同じ精鋭部隊の男も咄嗟にフォローする余裕もなく、脂汗を滲ませる。

 

取りあえず関が動き、震える男を引っ張ってその場を離れさせた。

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著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

その時になって、ようやく山田が到着した。

 

流れ弾を避難者に当ててしまった現状を伝え、改めて人が密集している場所で飛び道具しかない自分たちの条件の悪さに山田も歯噛みする思いで、いい策はないのか二人に訊ね返した。

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著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

その直後、また大きな呻き声が耳に届いた。

 

 

また一人の男がおぼつかない足取りで集団の中から飛び出して倒れ、みるみるいびつな形に変わり始める。

 

しかし、精鋭部隊はまた人に当たるかも知れないことを恐れ、銃口を向けられないでいるうちに完全に保菌者に変化してしまった。

 

それでも山田は、より多くの命を助けるために矢を番えた。

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著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

そのたった一射は見事な腕で、保菌者の頭を貫いた

 

 

しかし保菌者は耐え、山田の方に向き直った。

 

そして山田はもう一度矢を番えたが、今度は天に向けて放った。

 

 

何もない空に向かって放った矢の軌道を目で追った関は、やがて落ちてくるそれがどこに落下するのか逃すまいと、視線を前に戻した。

 

そこには、怒り狂う保菌者が雄叫びを上げていた。

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著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

落ちた矢は保菌者の脳天に突き刺さり、口を塞いで黙らせたのだった。

 

直後、明石は避難者を守る方法を思いついていると自信満々に答えた。

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