19話
お風呂で水着を着ているなんて不自然。
確かにその通りだと論破されたマリコは、いそいそと肩からストラップを外してツンと突き上がった乳房を取り出そうとした。
しかし、しっかり下乳まで出したところで、ふと現代社会のコンプライアンスが働き、一般誌でオネショタが描けないということで、脱ぐのを止めなければならなくなった。

まだまだマリコについて知りたい千夏が漫画家になって何年なのか訊くので、改めてまだデビューもしてないと伝え、千夏と同じ年頃に漫画を描き始めたのだが、その時住んでいたのが相当な田舎だとマリコは話し始めた。
田舎レベルは、小学校に上がるまで自分以外の子供を見たことがなかったというくらいの過疎地域だから、さすがの千夏もびっくり仰天して、シャンプーが目に入った。
マリコが一緒に住んでいたと語るおじいとおばあが血の繋がった祖父母なのかはさておき、ド田舎三人暮らしの環境はテレビ無し、ラジオ有、隣まで十数キロの陸の孤島。
老人ばかりの日常から同年代の子供を初めて見た時の衝撃といったら相当なものでも、友達との家の距離が遠すぎて結局野山で一人遊びを極めるしかなかった。
そんな中、キャンパーお姉さんに遭遇し、焚きつけにしていた漫画と山菜を交換してもらい、初めて漫画という文化に触れたのだ。

中途半端に手に入れた2巻目を繰り返し読んだ結果、その前後を自分で創作するという方法を取ったのが、マリコ漫画家人生の始まりだった。
千夏は大層面白がって聞き終えたが、他にやることないもんねと無邪気に毒を吐く辺り、闇を感じずにはいられなかった。
そして身体を拭いてもらった千夏が残りのケーキとジュースを胃袋に収めるため、さっさとリビングに戻ると、マリコは水着を脱ぎながら、誰かに話したことで漫画に対する初心を思い出していた。

ド田舎から出てきて10年、諦めかけた矢先にまた希望を胸に抱けたのは、他ならぬ千秋のおかげだと思えた。
背中を押してもらって編集との繋がりができなければ、今も金だけが目的の仕事を続けていただろうと感じた。
そういうわけで、30手前のアラサーマリコは、遣り甲斐溢れる仕事と可愛い年下彼氏を手に入れられそうな今に笑みが零れた。

マリコが風呂から出ると、千夏はサイン頂戴と要求。
サインなんてしたことないと言っても、やったー僕が最初だとナチュラルに持ち上げてくるので、プレッシャーより嬉しさが勝つのは必然。
マリコはD・Dのキャラとペンネームでのサインをささっと色紙に書いてプレゼント。
またプロの初サインだなんだとはしゃぐので、もう何回目かのプロではないと訂正し、花一華と書いてあるんだと教えてあげた。
ナチュラルに毒を吐いたり辱めたりできる千夏は、自分と同じ年頃からサインの練習をしていたからスラスラ書けるんだねと指摘し、アラサー女を赤面させた。
しかし、このサイン色紙は宝物で千秋兄と結婚してくれなくなったら嫌だから、もう要求は止めて秘密にしておくと付け加えた。
そんな風に言われたら、マリコの全てがキュンキュンしてしまい、堪らずギュッと胸に抱きしめ、お姉さんになるなるなりたいと答えた。

そして未来の義姉のハグの中で、千夏はもう一発キュンとさせる言葉を発したのだった。
帰宅した千夏は夕食を頬張りながら、タワマンの最上階に住んでいるマリコの家で遊んだことを報告。
長兄、次兄は色々驚愕するが、ケーキのお土産までもらったと聞かされて驚きが途切れない。
ラストに、お風呂に一緒に入ったと聞かされて一際大きな声で驚いたが、なんだかマリコは水着のままが良い気がしてそうしたと聞き、兄二人も同意した。
千秋はすぐさまマリコに電話をかけてお礼を伝えると、千夏がマリコが結婚してもいいと言っていたと口を挟んだ。
千秋は当然また驚かされ、電話口からも聞こえたマリコは風呂上がりなのにまた汗を噴き出して、ぐしょぐしょに濡れてしまった。

恥ずかしさで慌てたマリコが否定するので、千秋は弟を窘めるが、実際にマリコがそう言ったんだと千夏は涙ながらに訴えた。
さすがに嘘はつけず、マリコはあくまで可愛さに負けて戸籍上の婚姻関係になればお姉さんになれるという意味で言ったんだと、ごまかせていない言い訳を繰り出した。
そしてマリコは恥ずかしいついでに、水曜日の食事について伝えた。
その頃、マリコの担当についたベテラン編集は、マリコについてゲスな欲望を抱いていることを冗談交じりに後輩に話していた。
感想
ロウヒーロー17話18話19話でした。
星が徹底してゲス根性を発揮して自己中まっしぐらなので、いいアクセントですね。
どうして漫画家にもなれていないマリコが、高級タワマンに住めているのかが最大の謎です。
https://www.kuroneko0920.com/archives/61780



































