40話
熱戦の末、パピコの勝利を見届けた零ママは様々な感情が渦巻き、涙を流していた。
日本が救われた安堵か、パピコが生きていた安堵か、巨人同士の戦いで昂ったのか、それとも息子の恋人が素晴らしい人物だと分かって感動したのか。

ヘリから中継していたリポーターも、今地上に立っているのがパピコ一人だと分かると、その健闘を讃え、命をかけてたった一人で日本を救ったと叫ぶように全国に声を届けた。
パピコ本人はさすがに満身創痍なのか、ビルにもたれかかって呼吸を整えているようだった。
戦いが行われた周辺で生き残った人々はパピコ勝利に感動の涙を流し、彼女を讃え、生きていることを喜んで叫び、スマホで情報を収集し始めた。
老夫婦は抱き合い、おっさんは咽び泣き、幼い我が子を抱きしめるおっさん。
ビルの屋上が歓喜に包まれる中、外国人の彼はいい発音でPAPICOと呟き、女子高生はただ涙を流して呆けた。

空はヘリのプロペラ音がけたたましく、地上からパピコを見上げる人々の歓声が押し返そうとする。
徐々に小さくなっているパピコはずっとビルに身体を預け、歓声に応えるでもない。

ついさっきまで事態を全く把握せずにパピコに対してゲスい態度を取っていた自衛隊員たちは、戦闘の間はただ見守っているだけで、彼女が勝利した今、静かに感動していた。
零が乗っている電車が動き出すと、乗客たちは電車再開に歓声を上げ、生きて帰れる幸運に泣きに泣き始めた。
零もスマホで情報を入手して一人静かに涙を零し、駅に着くなり全力で走って駅構内から外に駆け抜けていく。
誰も彼もがパピコパピコと口に出している中、零は脇目も振らずに走り続けた。
地上との距離が小さくなることで人々の歓声が耳に届き始めたパピコは、それらの人々の顔もしっかり見れるようになり、誰もが号泣して手を振っているのが理解できていった。
おっさん、おばさん、警官に子供。
皆泣いて彼女の名前を叫んでいた。

現場にひた走っていた零は急げ急げと速度を緩めず、パピコへの歓声がやっと耳に届いてきた。
到着した頃にはもう、パピコは元のサイズに戻っても羽織るモノも渡されずに全裸のまま自衛隊の車両に乗り込もうとしているところだった。
零も同じように彼女を呼ぼうとしたが、救世主と平凡な高校生男子の間に一気にできた大きな壁を知らしめるように、誰も彼の存在に気づかず、車は早々に発進したのだった。

零は改めてネットニュースやSNSでパピコがどう伝わっているのか確認していると、ママから電話がかかってきた。
ママはあっさり態度を翻し、日本の救世主を逃がすなと言い含めたのだった。
感想
ギガント38話39話40話でした。
さり気なく零ママの好感度を上げているように見えました。
それはそれで可愛らしいママ成分は歓迎ですが、パパだけ犠牲になっていたなんてオチが用意されてる気がします。
https://www.kuroneko0920.com/archives/62394
https://www.kuroneko0920.com/archives/14995



































