その頃晴輝は、仲間たちのバラバラの肉片を足元に見ながら、驚異的な脚力を持つ保菌者と対峙していた。
一撃食らえば殺される相手との戦いで、同じく相当な集中力を必要としている彼も汗を噴き出していた。
鞭のようにしなる二連撃の間にうまく飛び込んで躱した彼は、すかさず銃口を向ける。

すると保菌者は不気味な鳴き声を漏らしてからまた家屋の裏に飛び上がって姿を隠した。
また家越しに上下真っ二つにする攻撃をしてくるのかと思えば、今度は縦に長くスライスしようとして、家ごとざく切りに。
姿を隠されたら、彼に反撃する手立てはなかった。
そして道の駅側も、いよいよ絶望的な状況に陥っていた。
まだ一体も倒せていないうちに三体目まで出現し、ながみんは取り囲まれてしまっていた。

エリックは完全に勝ちだと思い、せめて最後は武道家らしく一緒に戦って死ねと促した。
轟はその軽口に付き合わず、青白い顔をしたまま二心同体は何の役に立つと思う?と訊いた。

エリックの答えを待たずに語り出す轟。
武術を極めるには見世物タレントか教育者か。
そんな風に考えた轟は多くの門下生を持つ指導者でもあるが、ただ武の可能性を目指して鍛錬した本当の武は誰にも教えず、ひたすらに自己満足で追究し続けていた。
それを披露する場も相手もおらず、伝授できるような代物でもない。
武の可能性を求めて孤独を感じていたある時、保菌者騒動に巻き込まれた結果、次代を担う才能ある若者と共に鍛え上げた武を発揮できている。
自分が培ったもので未来を作っている今こそ、幸せだと言い切った。

思いのほか真面目に聞き入ったエリックは、武術バカな轟を見込み、寝返りを持ちかけた。
自分に幸せを感じさせてくれた若者二人がギリギリの戦いを繰り広げている最中、求める幸せが手に入れられると誘われた轟も、しっかり聞く耳を持った。
































