45話
大御所タレントに気に入られたパピコは、サシのトーク番組にも呼んでもらい、和やかなトークを楽しんだ。
ただやっぱり番組内でも口説かれ、当たり障りなく愛想笑いと気の利いた返事を返すのに苦労した。
百戦錬磨のタレントは、英雄が相手でも自分のペースに引きずり込んで好きなように喋り続けた。

その放送も仲良く一緒に観た零とパピコ。
戸惑いながらも人気番組に出れて楽しかったパピコに残された大きなテレビと言えば、残りは年末歌合戦くらいのもの。
そんなことより彼は、大御所タレントに本気で口説かれたんじゃないかと心配でならなかった。
その時、パピコママから電話がかかってきた。
会話の切り出しは何気ない娘を心配する母親のそれっぽい感じだったが、あっという間に話題は金の話に切り替わった。
CMに番組に毎日でずっぱりだと切り出し、CM一本のギャラはいくらなのか?何本契約しているのか?
そんな下世話な話題に切り込んだママは、自分が調べたところによると一本数千万程度らしいと伝え、パピコがギャラは把握していないと言ってもそこには頓着せず、大阪でも一等地にいい物件を見つけたんだと本題に入った。
この度長い賃貸住まいから億ションに引っ越したいとせがむ毒親。
パピコは完全にイエスマンになってしまい、超高額な親孝行に頷いた。

すると調子こいたママは、兄たちにも一人一部屋ずつ賃貸の家賃を払ったって欲しいとぶち込んだ。
億越えのマンションを買ってやると言うのに家族は一緒に住まず、ママはいつの間にか作った男と二人で暮らしたいらしく、いい歳こいた息子たちは邪魔だったのだ。
パピコは完全に冷めた目をしながら、寄生兄たちの分の家賃のみならず、仕送りも継続することで話をまとめ、了承したのだった。
彼女の何とも言えない表情に気づいたが、零は家族の問題には口を挟まなかった。

そうして英雄が寂しい思いをしている頃、日本国内のクソ共は本物のETEらしきサイトを見つければ、我先にとアクセスしまくっていた。
零は唯一、パピコとの関係を開けっぴろげに話している中島には、パパがプロデューサーをしている会社配給で、彼女の巨大怪獣もの主演映画を撮るのだとぶっちゃけた。
そのせいでスケジュールを押さえられた彼女と会えなくなったと愚痴りながら街中を歩いていると、偶然にもテスト撮影をしているパピコクルーに遭遇した。
ビルより大きくなっている水着姿のパピコは遠くからでも十分に視認でき、ギャラリーがここぞとばかりに写真を撮りまくっていた。
近くで見ると撮影隊が張り切っている声も聞こえ、パピコの迫力も半端じゃなかった。

もちろん夕食の話題は、パピコの撮影についてでクルーの中にパパもいたが、喋りかけられる雰囲気じゃなかったのでそれほど盛り上がらず。
その時、テレビにニュース速報のテロップが流れた。
そしてニュース番組に変わり、まだETEが健在のアメリカに出現したサタンの中継映像になった。
ただどういうわけか、現地にいるリポーターは何らかの理由で中継できる状態ではなくなっているようだった。
サタンの姿だけでとてつもない恐怖を感じているのか、零も画面越しに見ただけで涙が流れ、ママも顔を伏せて恐怖に打ち震え始めた。

零は堪らずテレビを切った。



































