これより深い個人情報は後に回し、アルクがまずマハトの回復を願い出ると、ラティが胸の谷間から使用済みゴムのような物を取り出した。
それにはアルクが修行時代に飲んでいたマンドラゴラの粉ベースの秘薬が入っていた。
ラティはそれをいやらしさを強調し、ザーメンかのように垂らして舌の上に乗せた。
そうしてアルクを欲情させつつ、唾液との結合で回復薬に変化させた。

今でもラティの妖艶な誘惑に赤くなってしまうアルクはリードされたまま、舌に垂らしてから一言も発さずにぶちゅっとイカれて舌を絡めていく。
しかしラティもじゅわっと感じていたので、アルクはビクつきを感じ取って押し返した。

すると甘い声を漏らしたラティは、滑るような後ずさりで距離を取った。
果たして、これでマハトが回復したのか。
実感が湧かずに怪しむアルクに対し、ラティは傍にいるのにマハトを注いでいない相手で試せばいいと煽った。
ラティとの密会から戻ったアルクは事務作業をこなしつつ、ウェンヌの代わりに世話は他のメイドが行うと報告を受けたのをきっかけに、少し手を休め、最初に会ったのはいつだったか?と話題を振った。
ティアも手を止め、10年前になりますと述懐し始めた。
病で両親を失ったティアはまだ幼く、身寄りもなくこのままでは飢えて死ぬのを待つだけの状況だった。
そんな時にできることと言えば、子供でも女なら身体を売るしかなく、娼館のオーナーに拾われたのだった。

そして子供のまま、初めて身体を見知らぬ男に開く時がやって来た。
まだ12歳のティアに欲情したのは肉達磨のような気持ち悪い男で、いきなり舐め回された彼女は恐怖に駆られて娼館から逃げ出したのだった。

貞操は守れたが、最後の頼みの綱も失ってしまった。
降りしきる雨の中、裸足で飛び出したティアは程なく力尽き、冷たい雨に打たれながら死を覚悟した。
その時、神様のように助けてくれたのが幼きアルクだった。
差し出された手を握り返したティアはそこで気を失い、目覚めた時には新たな居場所を与えられていた。

命の恩人ばかりでなく屋敷の一員にさせてもらい、学問も学べる機会を与えられたティアは、並々ならぬ恩義を感じながら、出会いを振り返った。
アルクはそうして感傷的にさせ、ワインを振舞っても自然な空気を作り出したのだ。
もちろん、ワインには血を混ぜており、ティアの忠誠心が万に一つの確率で揺らぐのを防ぐための策だった。
そんな思惑など知る由もないティアは、ありがたく飲もうとした。

しかしアルクは人として長年の信頼関係を優先してグラスを叩き落とし、飲めば自分の命令に逆らえなくなる魔力がかかっていると白状したのだった。



































