200話
小鳥は早く香里から預かった物を見て欲しくて話を始めようとするが、彼は復活直後のらぎ姉にべったりくっつき、お茶を飲むのも世話を焼いてイチャつく有様で、小鳥は冷めた目を向けざるを得ないし、相手がらぎ姉というのも気に入らなかった。
彼の隣には、やはりきららがいて欲しかったのだ。

体調的に特に変わりがないらぎ姉はただ、何とも言葉で説明し辛い心の変化を感じているらしい。
だから、ちゃんと言えるようになったら聞いて欲しいと伝え、彼に期待と不安を抱かせた。
さて、隔離地域外のことを知っている小鳥に話す順番を変えたらぎ姉は、脱出した人たちが無事なのかどうかを訊ねた。
小鳥はその人たちに会い、急を要する使命もあって立ち話程度の中、世界で保菌者騒動が勃発していることを教えられたのだが、五月雨紗月を中心に山形から保菌者を排除できていることも知り、驚きの連続だった。

紗月と言われれば彼も驚くしかなく、らぎ姉も消防士が命を懸けても治まらなかった騒動なのを思うと、俄かに信じがたい情報だった。
しかし小鳥に教えてくれた人たちの表情は生気が漲り、自分たちで保菌者に対抗できると信じているのがありありと伝わってきたという。
そしてもちろん、香里に希望を託された彼こそがその中心になると、小鳥は確信していた。
そろそろ香里が預けた情報エネルギーを披露する頃合いだが、小鳥はいざとなると、こうして彼に見せれることに大きな不安がこみあげた。
起死回生の一手なら、人智を越えた犯人が見逃す意味が分からないからだった。

怯えながら急ぎ、一人で祈りながらやっと彼に届けられたのは喜ばしいことだが、犯人に見逃されたという見方もできる。
つまり、犯人にとって取るに足らないものかも知れない。
小鳥の不安を煽る要素に、榎並の存在もあった。
犯人が地下研究所を襲撃する直前、榎並は自分の仕掛けたことが全て命令されてやったことだと自白していたのだ。
高木に脅されてやったのは、武器の搬入、感染者を一体操る能力貸与、そして研究者の心に火を点けて研究を促進させること。
それもあり、小鳥は犯人に踊らされ続けているのではと感じていた。

しかし彼は、あの榎並が自白したのは小鳥がそうするように変えたからで、犯人の思惑さえ超えた人の力だと思っていた。
彼の指摘で小鳥も少し不安が解消されて笑顔が戻ったが、彼は即座に犯人の計画を阻止するのは現実的に無理だと言い出した。
まさに上げて叩き落す天国から地獄、飴と鞭のやり口。
ただそれは全てを諦めているわけではなく、真っ向から勝負を挑むつもりはなく、敵が尊敬できる母だからこそ成長した息子として血を流さない方法を取るつもりだからだった。

大きな敵に対して、今まで人類が踏み込んでいない未踏の方法で解決し、落しどころを見つけて平和を取り戻す。
果てしなく難しそうな道だが、らぎ姉もヤル気を漲らせた。
空気が希望に包まれたところでようやく、小鳥が取り出した情報エネルギーは溶岩が冷えて固まったような粒が大きいおはぎのようなもので、小鳥も詳しいことは知らないらしい。
とにかく開くという言葉を信じて彼が適当に触り出したその時、粒が弾け飛んで彼の全身に吸い込まれた。
そして白目を剥いた彼は絶叫した。

感想
インフェクション198話199話200話でした。
もう物体らしい形でもなくなってきましたが、主人公はある程度はっ茶家てもらわないと暗いままではいけませんね。
血筋でまとめるなら、渚の存在は徹底的に深堀して欲しいです。
https://www.kuroneko0920.com/archives/75519



































