母の故郷に埋めたモノ
もちろんそんな訳がなく、裁判長は冷たく否定し、裁かれているのは名前じゃなく現行犯逮捕された人間なのだと突きつけた。
それが無罪になる切り札だったのかどうかさておき、真珠は間違いなく環が母親だと断言し、また憎悪の感情を露わにした。
全て可能性の域、広げられるのは真珠の証言からのみ。
検察が物証から尤もらしい事実を構築していく中、真珠は絞首刑が苦しいのかどうかを唐突に訊ねると、司法が導き出した方法ならおそらく楽に死ねるだろうとウットリした表情を見せ、傍聴席を振り返って卓斗に声をかけ、自分がお前の親父を殺したのだと叫び、死刑を望めとばかりに煽った。

傍目には自白、しかし裁判のシステム上、公式記録にはならない証言は証拠にできない。
もちろん、記録に残らなくても検察は殺したという発言を掬い上げて記録に残す流れにしたいので、宮前は自殺願望があるのだろうと問いかけ、自暴自棄で不安定な言葉だと言わせたい。
真珠は生への執着は否定するが、今は絶望ではなく幸せな時間を過ごせているともいい、訊かれるままに一審を黙秘した理由を明かしていく。
ただやはり、意味深な言葉を増やしていくだけで、そこに何の意味があるのかは明かそうとしない。

死刑でいい。
それは逃避か願望か、それとも演技か絶望か。
アラタを振りむいた目は虚ろで全く光が宿っていなかったが、二度見のようにまた振り向いた真珠は急に駆け出して夫に手を伸ばし、彼も思わず受け止めた。

夫婦でありながら初めて触れ合う瞬間、お互いに実在していることを確信すると、真珠の目から涙が零れた。
思わぬ行動は警備に引き剥がされ、即座に休廷になった。
しかしアラタにとって、品川真珠は誰にも渡したくない存在になってしまった。
利用されてるとしても全ての真実を明るみに出したくなったアラタは、別の切り口から真珠の本質を探ってみることにした。
その相談相手に選んだのは自分の母親であり、環と同じく褒められた母親ではない立場からの視線を得るための人選だった。

アラタママ曰く、環には努力の痕がうかがえることから、良い母親だと思われたかった心理が感じられるという。
虐待はしているが子供を誰にも見せようとしなかった歪な努力の影、同じく母親として手を抜いて心身のバランスを保っていたアラタママがはっきり言えるのは、品川ピエロは底が知れないということ。

また後日、検察からも手を引くよう忠告されたアラタだったが、最早妻に刺される覚悟もできていた。
今度は宮前をレコーダー代わりに連れて、面会に訪れたアラタ。
自分を操ろうとしているだろう殺人鬼とのやり取りを楽しむつもりだったが、何気ない会話の中に散りばめられた強い要求に気づくと、驚きと妙な使命感に襲われた。

アラタは会話の中に潜む願いを叶えるため、日本海の荒波が拝めるだろう地に降り立ち、品川環が育った遠縁の家を訪れ、かつて母の死後に訪ねた真珠の足跡を辿った。
そして真珠が示した場所を掘って見つけたものは…
感想
夏目アラタの結婚6巻でした。
面白度☆8 歯度☆8
歯を治せば見た目は綺麗になっても、逆に滑舌が悪くなったり歌が下手になったりとする場合もあるでしょうね。
「夏目アラタの結婚」ネタバレ最新7巻。衝撃の新事実!真珠の名を受け継ぎし殺人鬼は死刑にできない少女だった⁉


































