サンミサ崩壊計画
見た目には華やかに見えるものの、内実は男の慰み者になっているだけのサンミサ。
しかし今は戦争で多くの兵士が出払っているおかげで、娼婦たちの負担はかなり軽かった。

その時期に薄汚れた流浪者がプリシラを訪ねてやって来たのだが、まるで身請けでもするかのような金貨を提示しておいて、一晩だけの相手を求めてきた。
断る理由のないプリシラが受け取るも、ジエゴと名乗る彼は娼婦を買う男にしてはあまりに珍しく、女への愛撫をしてしっかり濡らしてから、丁寧に優しく中を楽しんだのだった。

プリシラはさすがにこんなに受け取れないと返そうとするが、彼は全財産だが構わないと固辞した。
そうして彼を見送った帰り、プリシラは金はないがイイ女は抱きたいクズ共に襲われてしまう。
すると目敏く悪の存在に気づいていたジエゴが駆けつけてくれ、あっという間にクズ共を蹴散らした。

兵士としてあれだけの大金を稼げるだけあって相当に強い彼はしかし、戦争がただ立場が違うだけの殺し合いだと理解し、絶望し、宵越しの金は持たずに死のうとしていたのだ。
プリシラがその死は無意味だと突きつけた頃、彼女が狙う計画が進展していた。
勝利を挙げたハリ王国の兵士たちは惨たらしく敵を殺し、戦争が終われば女を犯して憂さを晴らし、国に帰れば真っ先にサンミサに足を運んでしまう、まさに人間という種のオス。
人気者のプリシラは次から次に何十人も相手にしなければならず、膣が擦り切れてるかもしれない痛みを訴えるが、客にとって知ったことではなく、他の女を守るためにも彼女が拒否することはできなかった。

そしてクズ兵士の中には、勝手に女を攫って娼婦に堕とそうとするクズの中のクズもおり、それは法的に許されない行為だったが、法を守らせる役人も大して仕事熱心ではなかった。
激しい一日を乗り切ったその夜、各娼館の代表の女たちが集い、プリシラがサンミサ崩壊計画の最終確認を行った。
計画を立ててからこれまでで娼婦全員が武装できるほどの武器を入手、今夜は女五人で男一人を相手にすればいい数の優位があり、サンミサ内に残っている男を始末して街に火を放ち、混乱に乗じて亡命するには文句無しの条件が揃っていた。
プリシラことエビータの父、バタリア王が親交を築いてくれていたおかげで亡命を受け入れてくることが分かった今夜、プリシラは改めて危険も伴うがまともな人生を求めるか、死にはしないが娼婦として留まるかの選択を迫った。
すると一人が、女の子らしく恋をしてみたいと語ったことで彼女らの意思は固くなった。

だが男たちを虐殺して脱出するこの計画は、全ての女の覚悟が一定以上にまとまっていなかった。
鐘の音の合図であちこちで一斉に血が流れ、始まりは幸先いいスタートが切れていた。
しかし男を全て容易く仕留められるはずもなかったし、男の表の顔に騙されて本気で愛した不憫な女もいたのだった…

感想
血を這う亡国の王女1巻でした。
珍しい設定ではないですが、何とも気持ち悪い男のキャラデザや女の豹変の破壊力は一見の価値ありでした。
男の汚さオスさ、女の非力さオスさ強かさ、先が気になる1巻でした。