18話
ラファエルの剣は何の抵抗もなくベリアルの背中から貫いた。
よしのの目の前に飛び出した切っ先には血が滴り伝い、ベリアルの吐血がそれに混じった。
ラファエルは契約書を出すよう再度迫るが、ベリアルは頑として拒絶する。

最早ラファエルは言葉は無駄だと判断して剣を抜き、両側の傷口から激しい出血が起こった。
そして剣を振りかぶり、白く美しい羽毛で覆われた片羽を切り落とした。

人間には想像もできない羽を切り落とされた痛みでもベリアルは「嫌だ!死んでも渡さない!」と、命に代えてでも契約書を守ろうとする。
強過ぎる意思はしかしラファエルには何の意味もなく、もう片方の羽も切り落とされてしまった。

ベリアルはよしのの前から動かず、ラファエルは反撃も何もしてこないのが解せない。
それもそれで好都合と、何度目かの契約書を催促するが、守られるだけで見ていられなくなったよしのがベリアルを殺さないで欲しいと懇願するが、それがラファエルには悪魔に心まで支配された哀れな子羊の行動にしか見えなかった。
そしてよしのを守ろうとする片腕も切り落とし、ついに人間と変わらない生々しい人体の断面が露わになってしまった。

痛みで絶叫し、歯を食いしばって脂汗を流すベリアルは、宣言通りに死の危険を感じても契約書を出そうとはしなかった。
いつから痺れを切らしていたのか、ラファエルは髪を掴んで引き倒し、まだ無事な方の腕の途中に剣を突き刺し、胴体の方へ線を引くように切れ込みを入れながら、また契約書を求め、ついによしのは悪魔の名を叫んだ。

しかし、ベリアルは暴言を吐き捨てて意地を貫く。
ついに血塗れの剣が首へと振り下ろされ、20年間守り抜いてきた愛した女性の前で命を散らそうとした。




































