桃ちゃんへの接触
母子家庭で虐待されて育ち、母親を反面教師にして妊娠や出産を忌避するようになっていく女の子たち。
犯罪者でも大人でも、その傷を児相職員としてのアラタは突っつきたくはなかった。
しかし桃ちゃんは、ありがちな母親へのコンプレックスではないと感じた。
飄々と道化らしく主導権を握って地頭の良さを感じさせてきた真珠が、子供というワードに豹変し、激昂し、唾を吐きつけた。
桃ちゃんは、真珠が赤ん坊に対する恐怖やトラウマを持っているのではなかろうかと考えた。

望まぬ妊娠、中絶、流産…
その可能性があったとしても、アラタは直接事件に関係ないのなら、そこから切り込もうとは思わなかった。
とは言え、うまく別れられる方法があるわけでもなかった。
家に帰った桃ちゃんは、急に届いた真珠からの名指しの手紙と向かい合い、緊張感を募らせていた。
丁寧な語り口、アラタには話しづらいという赤ちゃんについての過去。
気遣う言葉の中に抗い難い迫力を感じた桃ちゃんは目頭を押さえ、最後が乙女チックに締められた手紙に返信するか否か悩んだ。

後日、真珠は桃山香から手紙が届いたので微笑した。
真珠からの手紙を受け取った桃ちゃんは、会うべきか会わざるべきか、担当弁護士に相談すべく、適当な理由をでっちあげてアラタに紹介を頼んだ。
アラタは婚活でもする気じゃないかと勘繰って渋るが結局教え、桃ちゃんも品川真珠の蜘蛛の巣に絡め取られ始めた。
結果、宮前を一目見た桃ちゃんはアラタの予想通りに胸をトキメかせた。

アラタとの会話であだ名がぽろっと出てきただけなのに、なぜ真珠がフルネームを把握していたのか?
もちろん宮前が勝手に教えるはずがなく、可能性としては事件の記事を書きたいフリーライターが真珠の機嫌を取るために桃ちゃんという人物の個人情報を調べたのかも知れない。
桃ちゃんはまずデブカテゴリに入れられたことを訂正しつつ、私書箱宛てにするよう返信をしたところ、会いたいとはっきり求められた手紙が再度来たことを明かした。
中を検めた宮前は真珠のため、話を聞いてあげて欲しいと面会を促し、その時は自分も付き添うからと押した。
桃ちゃんは熱く爽やかなさっぱりイケメンの願いに、ちょろく背中を押されてしまうのだった。
いざ拘置所に赴いた桃ちゃんは緊張感に包まれながら、初めて話題の真珠と相対した。
そして、歯がボロボロな以外は普通の女の子だと感じた。

桃ちゃんはまず、望まぬ妊娠をしていた可能性も考え、アラタに余計な詮索をする気はないことを伝えるが、真珠はそんなありがちな話ではないときっぱり斬り捨てた。
しかし、初対面で宮前もいる状況でまだ全てを打ち明ける気にはなれないと言い出し、桃ちゃんのメイクについて話題を振り、そういうのは誰に教えてもらうのか訊ねた。
女性として自然と気にするようになる身だしなみの整え方、綺麗に見られたい化粧の方法。
それを教えてくれる人がいなかったと真珠は打ち明け、不幸な家庭環境だったことを仄めかした。
桃ちゃんがそれに同情を寄せたのを見て取った真珠は、話しながらする仕草をあからさまに真似しつつ、ラストに更に大きく同情を引けるように道化を演じた。

それで自分から関わりを持とうとする発言をした桃ちゃんを逃さず、つけている同じ下着を差し入れて欲しい、ここを出たら一緒にブラを買いに行って欲しいと言い出し、胸元を露わにして薄さをアピールした。
更にはそのぽっちゃり体型になりたいからカロリー高めのものを差し入れて欲しいと要求し出した。
そこで真珠は「ぼく」から「あたし」に一人称を変えた。
アラタのタイプが桃ちゃんだと確信している真珠は、桃ちゃんになるために模倣していたのだった。

感想
夏目アラタの結婚2巻でした。
面白度☆9 読めない度☆8
真珠の殺人無罪の可能性が浮上しましたが、それは4人目が誰でどうなっているのかが鍵ですね。
ともかく、宮前はかなりチョロそうです。
https://www.kuroneko0920.com/archives/71483


































