67話
洋子が狙ったのは谷という、紳士を気取った幹部だった。
正体が筒抜けだった洋子は逆に組員に囲まれ、谷の酒の相手に付き合わされ、ウイスキーについての薀蓄を聞かされていた。
ストレートで呷ったウイスキーをいい酒だと評するのは無視し、なぜ仲間に引き入れようと思ったのか洋子は訊ねた。
だが谷も洋子の質問にはすぐ答えず、グラスに酒を注いできた。

あくまで紳士を気取り、酒に毒など入れるようなことはしないという。
軽く挑発されるまま洋子は注がれた酒を喉に流し込んだが、毒の心配は杞憂に終わってくれた。
そして谷は、一気に飲み干した豪快さを褒めた。

洋子はどうにかして隙を作るしかないと考え、改めてなぜ殺しに来た人間を仲間に引き入れようとするのか訊くと、妻になる女のやる事は大目に見ると返された。
洋子が聞き間違いかと思った直後、谷は殺人鬼に求婚した。

今度ははっきり聞き取った洋子はしかしまた意味が分からず、あっけに取られた。
谷の気取った笑みが笑えない冗談だと思え、珍しくイラついて酒をぶっかけた。

組員はすぐに洋子に銃を突きつけるが、怒った様子のない谷が止めさせた。
顔を拭きながら求婚が冗談ではないと断言し、自分のものにするために回りくどい方法は取らないという。
そして洋子が殺人鬼などではなくただの無期懲役囚なのを知っていることを明かし、弁護士も手配して助けてやると持ちかけた。
結婚云々なんかより、あの絶海の孤島に建つ脱獄不可能な刑務所から出れる未来は、洋子の心を確かに掴んだ。

洋子は今のままでは絶対に手に入らない未来が、本当に現実になりそうなのか考えた。
警察や政界にも顔が利くという言葉を信じるなら、賭けてみていいかも知れない。
そうして何秒か考えている間に、ステージから飛び出して踊り回っていたカップルが近づいてきた。
組員が遠くへ行かせようとするが、カレンとカチュアは一撃で息の根を止め、洋子に自分たちが助けに来たことを知らせた。

その時、洋子の後ろに控えていた組員が二人に銃口を向けた。
すると洋子は予備動作なく椅子から後ろ回りに飛び上がり、組員の真横に着地した。
流れるような動きで身を翻し、組員の肘の辺りと手を掴んで間接を動かし、銃口を自分の頭に向けさせ、そのまま引き金を引かせて強制的な自殺で頭を撃ち抜いた。

銃声は他の客の耳にも届き、ついにヤクザと殺人鬼の殺し合いが明るみに出てしまった。
しかし洋子は悲鳴など気にせず、仲間思いの殺人鬼たちを裏切れないのだと示し、誘いを断った。

一目惚れした女だろうと殺されるわけにはいかない谷は悲しげに眉を歪め、銃口を洋子に向けた。
洋子はまた引き金が引かれる前に流れるような動きで銃に手を伸ばし、まるでブラのホックを外すように銃を解体して使用不可にしてしまった。
更にテーブルの上のフォークを握り締め、谷の喉に突き刺した。

元の生活に戻してくれるかも知れなかった谷を殺さなければならなくなったことを、本当に残念がる洋子。
その洋子の別れの言葉に、谷は返事をした。
中国拳法の成せる業だと自慢気に語る谷の喉からは、血一滴も出ていなかった。
だがカレンとカチュアは構わず、一撃必殺の攻撃を仕掛けた。

谷は二人の攻撃を受ける直前に気合を入れ、両腕で攻撃を受け止めた。
すると二人は磁力が反発したように弾き飛ばされる。
千葉真一のモノマネをする関根勤のように更に気合を入れた谷は改めて名乗ったが、洋子は冷め切った目を向けるだけだった。

感想
サタノファニ65話66話67話でした。
結局そういうオチだったのは拍子抜けですが、なんだかんだメデューサたちには仲良くして欲しいので良かったです。
とは言え、特に追い込まれていた堂島姉妹がどうなったのか気になります。
肌がクソ硬いとかテレビで観た覚えがありますが、ここで使ったらギャグにしか見えなかったです。
https://www.kuroneko0920.com/archives/50642


































