PR掲載中最新コミック

228話

聞くつもりのなかったルイとアルの会話が聞こえてきた梶田は、別れたという言葉で彼女の表情が沈んでいた意味を理解した。

 

とは言えルイは、自分の我がままを押し付けるばかりだった恋愛がお互いに良くないと気づき、あくまで距離を置くという希望を残す形で、別れたという。

 

アルは茶化しながらも、いずれまた二人がよりを戻すのなら安心できると答えた。

 

ただそれも、お互いに気持ちがあってその選択を選んだ場合だけ。

 

夏生の意思はどうか分からないが、ルイはよりを戻せるならそれが一番いいと思っているようだった。

著者名:流石景 引用元:少年マガジン2019年23号

 

 

 

アルを見送ってルイが階段を上がってくるときまで固まっていた梶田は声をかけられてハッと我に返り、思わず「大丈夫か?」と訊いていた。

 

急に質問されて何が?と訊き返されると「え?」と驚くほど、まともに頭が働いていない梶田。

 

しかし、そのふざけていない真剣な驚きがルイのツボに入り、彼女に心からの笑顔を取り戻させた。

著者名:流石景 引用元:少年マガジン2019年23号

 

 

 

そのおかげもあったのか、ルイは今まで通りに仕事に集中して前を向いたが、徐々に頭角を現しつつある日本人女を気に入らない人間はどこにもいるもので、同僚のくせに難癖をつけて嫌がらせしてくる器の小さい男が現れ始めた。

 

そんなことにいちいち噛みつかず、ルイは淡々と一日の仕事をこなした後、一人残って新メニューの開発にも勤しんだ。

 

 

帰りがけにルイがまだ厨房にいるのを見かけた梶田が何気なく話しかけると、彼女も何気なく味見を頼んだ。

 

梶田の率直な物足りないという評価はルイも同感だったが、試行錯誤してもこれだという味付けが見つからずにいた。

 

そこで梶田はソースに目をつけ、さっぱり系のオレンジソースを試してみようとアドバイスしながら、ちゃっかり二人きりになるために手伝いを申し出た。

 

 

そうして二人仲良く居残り、協力してエビのムース・オレンジソース仕立てを完成。

 

まさか合うと思っていなかったルイは、一口食べた瞬間に広がる清涼感とエビの旨味の絶妙なマッチングに驚いた。

 

しかし、自分でこの組み合わせを思いつけなかった悔しさに唇を尖らせた。

著者名:流石景 引用元:少年マガジン2019年23号

 

 

変にプライドを見せるルイに笑わずにはいられなかった梶田は、オレンジソースに合わせてムースの改良が必要だと指摘し、納得いくまで付き合うと改めて申し出た。

 

あくまで美味を追求する料理人としてをアピールしたが、もちろん彼女に優しくしたい下心が燻ぶっていた。

 

 

そして遅くまで色々試し、ルイは納得いく新メニューを作り上げることができた。

 

 

コンペ期日までに仕上がったのは梶田のおかげだと感謝するルイだったが、彼も彼らしい褒め方で、ムースの精度や賄いの美味しさは相当なもので、自信を持っていいレベルだと褒め返した。

 

すると、今のルイにとって最大のアイデンティティを褒められた彼女は、小悪魔的な笑顔でガチ喜びした。

著者名:流石景 引用元:少年マガジン2019年23号

 

 

その笑顔で、梶田はまたどうしようもなく心乱されるのだった。

 

 

 

そして翌日の仕事終わり、着替えた梶田が厨房の前を通りかかると、二人の男が何やらルイを眺めながらゲスな話題で盛り上がっていた。

 

居残りした新メニュー開発の陰口、日本人女性に対する偏見と下ネタ妄想。

 

聞き捨てならなかった梶田はもみあげがでかい方の胸倉を掴み、同期の日本人仲間として睨みつけた。

 

それでも相手がからかってくるので梶田はキレ、手を出してしまうのだった。

著者名:流石景 引用元:少年マガジン2019年23号

 

ドメスティックな彼女を読むならこちら