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160話

妹を犠牲にしないため、麗は別の方向に走った。

 

 

姉の真意が分かったきららは、歯を食いしばって姉の背中を見ながら、自分たちがどういう姉妹で、自分がどういう妹なのかを振り返った。

 

 

 

海が近い田舎の街で育った姉妹は特段仲が良い訳でも悪いわけでもなく、特筆することのない、一緒に遊んだり喧嘩もする、割と年齢差のある姉妹だった。

 

やがて成長していき進学と共に通う学校が変われば姉妹で過ごす時間も減っていく、一般的な姉妹。

 

きららも普通の妹だったので、姉が男に孕まされて家族に嵐を起こしても、きららは何もできず、家から出て行った姉に連絡をすることもなかった。

 

それが普通だと思ったままこの保菌者事件に巻き込まれ、熱く強い兄妹愛があることを天宮兄妹を見て知った。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

それによって感じたのは、時間差で襲いかかってきた後悔と、もう会えないかも知れないと思っていた姉との再会だった。

 

 

二度と後悔しないため、今でも普通の妹でしかないと理解しているきららは、自分を救おうとしている姉を助けるために踵を返した。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

スカートを翻し、ホットパンツを露わにしながら全力で走り出したきらら。

 

 

麗は建物沿いに全力疾走するが、信の泣き声は一切止みそうにない。

 

メットはしっかり信の泣き顔を捉え続け、全く行動に移せない人々を薙ぎ払いながら巨大な手で親子を追いかけた

 

親子に巨大で凶悪な手がぶつかるかと思われたその時、きららが叫びながら命懸けでタックルをかます方が一歩早かった。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

人が押し潰され、建物がお菓子みたいに崩されながらも、3人だけは奇跡的に無傷で済んでいた。

 

 

またしても助けられた麗は、信を助けるために死んだ人がいる辛さを吐露し、さすがに妹まで犠牲にすることはでいないという。

 

きららはもちろん姉の気持ちは分かっていると答え、それでも自分も同じで、最愛の姉を助けるための我がままなのだと笑顔で言い返した。

 

そんな朗らかに命を懸けられたら、麗はもう何も言えなかった。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

 

タイミング良く信も泣き止んでいたので、麗は立ち上がって静かに動き出そうとしたが、身体が重く何かが起き上がるのを遮っていた。

 

衝撃で亡くなった避難者の腕が抱っこ紐に絡みつき、体重をかけていたのだ

 

思わぬ障害に麗は焦り、それが我が子に伝わってまた泣き出しそうになってしまう。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

麗は咄嗟に信の口を塞ぎ、外すのをきららに任せたが、完全に脱力している男をはがすのは用意じゃなく、もたついているうちにメットが巨大な目をこれでもかと近づけてきた。

 

今は泣いていないのに完全に補足したメットは、悠々と手を振り上げた

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

最早男を外している時間はなく、麗はきららに逃げるよう促すが、妹は頑としてその場を離れようとしなかった。

 

そして遠くを見るように顔を上げると、姉の絶望を否定して、もう何も恐れていない表情で助かると言い切った。

 

直後、海兵隊の包囲を突破してきた晴輝が颯爽と駆けつけ、メットの腕をショットガンで吹き飛ばしたのだった。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

 

まさに主人公なタイミングでピンチを救った彼は大したことなさそうな感じで遅れた詫びをいい、Aチームかと言わんばかりのキメポーズでキメ台詞を放った。

 

 

少し遅れて駆けつけたながみんに左腕を斬り落とせと指示するが、彼女は止めを刺す役目がいいとごねるも、彼は命令を聞けと怒鳴り返した。

 

九死に一生を得た麗は、ドヤ顔で彼氏を自慢する妹に笑顔を返した。

インフェクション
著者名:及川徹 引用元:マガジンポケット

 

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