153話
圧倒的ピンチに陥ったことで、気づけなかったことに気づいた覚醒中の3人。
神城のトレーニングにより人並外れた能力を手に入れた3人は、守るべき避難者たちの声援に背中を押され、見出せた勝機に笑みさえ零した。
戦闘狂いのながみんは当然、全力を出せる戦い自体を心底楽しんでいたが、敵が強いおかげで見えた攻略法を発見できたことで尚、愉悦の笑みを零す。
それに、避難者たちの声援など関係なかった。

そして女子大生コンビは、山田が3本も同時に矢をセットしたのを見て驚きを隠せなかった。
とてもまともな攻撃になるとは思えず、子供がふざけてやっているように見える。
もちろん硬いガードを切り崩す攻略法を見つけた山田は、3本同時に射ることが要だと分かった。

毛利元就曰く、1本なら容易く折れても3本束ねれば強度が跳ね上がる。
山田は強度ではなく、3本で重さを増やすことにしたのだった。
そして放たれた3本は、一見無秩序に落下していった。
そしてながみんは、自分のメンタルの弱さが原因だと分かり、未熟さを思い知っていた。
その姿勢は轟がいいお手本だと独り言をぶつぶつ呟くながみんが見出した勝機は、愛する薙刀の切っ先が通る巨大な拳の切れ目を狙うことだった。

そして晴輝は、自分に足りなかったのはシンプルな冷静さだと気づいた。
圧倒的体格差も、相手が距離を開けて攻撃してくることも、近づけない理由にはならない。
相手も攻撃するたび、強靭な足から伸びるブレードを繰り出してくるのだから。

今人類の最高峰にいる3人が、一段強くなった瞬間が同時に訪れた。
コンクリートの建物さえ切り裂いたブレード。
人を豆腐のように破壊する巨大な拳。
マシンガンと矢を弾き返す絶対防御。
山田は3本同時に放った後に、もう一本放って後を追わせた。
晴輝は目の前まで来たブレードにナイフを刺し返し、引き戻されるのに乗っていった。
ながみんはただ待ち構え、迫りくる拳の指の隙間に狙いを定めた。

放たれた4本の矢は一列縦隊で1本の矢になり貫通力を跳ね上げると、保菌者に落下しても外殻などないかのように地面までするりと貫いた。
ながみんの薙刀は、切れ込み線が入っているように屈強な保菌者の身体を真っ二つに切り裂いた。
ブレードの引き戻しに任せて目の前まで近づいた晴輝は、顔射するフリで手の防御を顔に向かせた隙を狙い、右足を斬り落とした。
背中を向けている轟は見えなくても、ながみんが勝利したことが分かった。

汗を噴き出して焦るエリックをからかうように二ヤリと微笑み、でかいものが倒れる音は吉報の知らせだろうと訊ねた。
仕留めた保菌者の上に乗ったながみんは楽しさを抑えきれず、バカみたいに笑い始めたのだった。

感想
インフェクション152話153話でした。
神城のシーンになった時に「ドサッ」と音がしたのは、もしかして蓮華が運ばれて来たのか…
そこまで無茶苦茶な攻略法ではなかったですが、まだ晴輝は仕留め切れていないので、一筋縄でいかないフラグなのか気になります。
https://www.kuroneko0920.com/archives/63806



































